2013年10月29日

アベノミクスの経済効果並びに中小企業再生への道のり


 前回の政治研には自民党衆議院議員の木原誠二さん(http://kiharaseiji.com/)にお越しいただき、アベノミクスにつきお話をしていただきました。木原さんは先月末に外務大臣政務官に就任され、その直後の大変お忙しいタイミングでしたが、お時間をご調整頂き、無事開催に至りました。

 テーマは「アベノミクスの経済効果並びに中小企業再生への道のり〜金融・財政政策から民間主導による再生へのストーリー〜」で、アベノミクスのこれまでの実績と今後の方針、注目すべきポイント等について、大変興味深いお話をして頂きました。

 以下に当日の議事録を添付します。

0.はじめに
・自民党の金融調査会事務局長、経済再生本部主査、中小小規模事業者調査会幹事を務めてきた。

1.マクロ的に絶好調な経済
・マクロ的に絶好調な日本経済。一言でいえば、うまくいっている。数字が物語っている。数字上は効果が出ている

2.その要因は・・・、適切なマクロ政策
・その要因は金融政策。財政政策では景気対策にはならないのは世界の常識。安倍政権でやっと世界に追い付く
・たいへん重要なことは安倍政権にて経済の司令塔である経済財政諮問会議を復活させたこと。会社でいえば経営企画部を復活したということで、経理部が経営の主導権を握っている会社はたいがいダメ。国でいえば財務省が主導権を握っていてはダメ。
・成長戦略は短期的には経済的にマイナス、成長力を削ぐこともある。成長戦略は中長期的には好影響となるもので、じっくり取り組む必要がある。
・安倍政権の四本目の柱は都市政策。自民党は農村政党。都市からお金を収集して、地方に分配するというのがテーゼ。このテーゼとの併存にて都市政策に重点を置く

3.今後のカギは?
・今後のカギは「賃金」。マクロ的にはうまくいっているが、社会的な分配ができているかは疑問。ここがうまくいかないとアベノミクスはうまく言ったとはいえない
・法人税減税を行う代わりに、年末までに賃金が上がる仕組み作りをいかに行うかが焦点。現状、賃金が重要なファクターになっている。
・賃金について特に焦点となるのがサービス産業(GDPの7割を占める)。製造業は春闘など賃金を上げる仕組みがあるが、サービス産業にはない
・サービス産業の賃金については認識が薄い。死角といえる。が、ここを行わないと。賃金全体は上がらない
・サービス産業は消費税の影響が一番大きいところでもある。自動車、住宅は大規模な消費税対策がなされている。しかし、サービス産業、中小企業はかなり影響が出る

4.そして、最大の課題 〜 中小・小規模事業者対策
・もう一つの大きな課題は中小・小規模事業者対策。中小企業が復活しないと日本の復活はない。
・中小・小規模といっても、二つの側面がある。一つは既存の中小小規模事業者、もう一つはいわゆるベンチャー。
・純粋ベンチャーという意味では、エンジェル税制は使い勝手が悪い。ベンチャーファンドへ企業が出資する場合もエンジェル税制を適用できないか。
・また、既存の企業が第二創業としてベンチャーになることを支援するのも大切。第二創業のほうが成功確率が高い。ここにエンジェル税制を活かすことも考える必要。
・ベンチャーや中小・小規模事業者に公共調達/入札の優先枠を設けられないか。
・なお、金融面の対応はだいぶ前進した。金融庁はかなり取り組んでいる。ちゃんと貸し出しているか?へ検査マニュアルは180度転換。さらに、貸出プラス1を評価する。
・認定支援機関を強化したい。評価し、格付けを行いたい。良い結果のある人に良い仕事が行くようにしたい

5.まとめ
・アベノミクスに死角もあるがまだ9ヵ月。これからが勝負。賃金対策、中小企業対策、そして、サービス産業対策を充実させていくことがとても重要

以上です。

 ここ最近発表されている経済指標を見る限りでは景気は上向き傾向にはある様ですが、消費税増税が決まり、また、海外諸国の経済状況も健全とは言えず(特に中国はバブル?)、予断を許さない状況と思います。国内経済については、今後のカギは何と言っても賃金で、しかもサービス業とのことなので、その動きに注目していきたいですし、中小・小規模事業者対策にも着目していきたいです。
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2013年09月24日

ネット選挙

 先月末の政治研では先の参議院選にて一部解禁された「ネット選挙」を取り上げました。
 スピーカーは政治・選挙のプラットフォームである政治山(http://seijiyama.jp/)の担当者の青木さんで、今年の参院選での各政党・候補者のネットの使い方の分析結果や、ネット選挙に関する今後の課題等についてお話を披露して頂きました。

 まず、当方私見ですが、先の参院選でのネット利用やその効果については、解禁後第1回目ということもあり、限定的であったことは事実と思います(解禁と言っても一部解禁であり、投票依頼メールの転送禁止等、わかりづらい制度ですし)。ただ、今後の日本の政治を考える上では大きな一歩であり、これを今後どう育てていくのかが重要と認識しています。一方、今回の参院選の結果を受け、早くもネット選挙の効果が限定的と評価して、その利用を減らしている政党や政治家がいると聞くので、ネット選挙について何が課題で今後どう活用していくべきか、という点について、議論・研究する機会は非常に重要と思っています。

 そこで、今回は政治山の青木さんにその分析結果を披露頂いたわけですが、主に以下の点を認識しました。
1)今回の参院選で投票先決定の情報収集のためにネットを利用した人は約3割
2)全般的には参院選の投票率は下がったが、若者に限定すると、下げ止まり、もしくは向上しているエリアもある。(ネット解禁の影響か?)
3)選挙約1か月前のアンケートでは多くの人がネット上の情報を参考にすると言っていたが、選挙当日のアンケートでは実際に参考にしたという人はその半分以下にとどまった。
4)政党によりネット選挙に対する姿勢は様々であったが、特に共産党はその活用を積極的に行い、議席獲得に有効に活用した。(カクサン(拡散)部を設立し、ツイッター等を活用して情報の拡散を図った)
5)候補者によるネットの活用方法は様々であったが、得票数を伸ばした候補者に共通する事項は情報拡散に成功したという点。一方、単に食べたものの内容や参加したお祭りの様子をアップしただけの候補者については効果は薄かった様子。
6)米国での利用は進んでおり、例えば前回の大統領選挙戦において、オバマ陣営は支援者の活動支援ツールとしてITを駆使した。

 という訳で、日本では第一歩を踏み出したばかりですが、一定の効果と課題が出てきたものと思います。
 ネットはあくまで日々の活動を補完するツールであり、当然それだけでは政治はできませんが、候補者が自分の考えを理解してもらい、また、有権者と双方向のコミュニケーションを行い、そのニーズを把握するためには非常に有効なツールであり、何より安価で時間も選ばないという点は非常に優れていると思います。政治家は日々の政治活動をきちんと行い、随時考えたことや実施したことをアップしていくことができれば、有権者はその政治家の人となりを理解することができ、投票につながるのではと思いますし、アーカイブスとしての機能もあるため、自分が過去にどの様に考え、何故今そう思うのかといった点について頭の整理もできるものと思います。
 今回の参院選では、単に何を食べたとか何に参加したとか断片的な情報発信のみに留まる候補者が多かった様ですが、その情報には殆ど価値は無く、本人が普段何を考え、今後何をしていきたいのかが整理され、発信されているHPやブログが増えていくことを切に願います。

 なお、当日政治研にご参加いただき、普段の取組内容をシェアして頂いた埼玉県議の井上さんのウェブページ(http://inouewataru.com/index.html)は充実しており、県議の仕事がマンガでわかり易く記載されており、且つ、井上さんのやりたいこと、日々の活動内容、日々考えている事(ブログ)等が理解しやすい構成になっています。

 政治活動を行いながらこの様な情報発信を続けていくことは苦労の多いこととは思いますが、限られた選挙期間で候補者の考えを十分理解するのは難しいので、是非こういった情報発信のできる議員が増えていけば、、、と言いますか、有権者がそういった人を選ばなくては(勿論政策次第ですが)と思います。
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2013年08月08日

東日本大震災の被災地支援の現状


 先週の土曜日は「いま、東日本大震災被災地の支援はどうなっているのか?〜被災地支援の現状と気仙沼の支援グループによるパネル・ディスカッション〜」とのタイトルで第93回戦略研ミーティングを開催しました。
 基調講演は一般社団法人RCF復興支援チーム代表理事の藤沢さんにお願いし、後半のパネルディスカッションではNPOや各種団体の代表者等、現地で復興に携わっている計5名の方々にパネラーとなっていただき、具体的活動内容や現地の現状についてお話をシェア頂きました。

当日の各セッションを通じて、当方が特に認識したのは以下の点です。
1) 関心の低下:復興はなかなか進んでいないが、人々の関心は低下しつつあり、ボランティア数も減少してきている
2) 人材不足@:現地で復興を主導していこうとする若手やリーダーシップのある人間が少ない
3) 人材不足A:現地の企業は人材募集をかけているが、例えば水産加工業等では募集しても人が集まらない状況が起きている。(理由は様々な様だが特に生活環境の変化やコミュニティの崩壊、通勤環境の変化等が影響か?)
4) 復興需要の時限性:復興需要は短期的なものであり、早く地元経済が循環する仕組みを作らなくてはならない。
5) コミュニティの崩壊:そもそも今回の震災の有無にかかわらず、日本全国で人々の地域コミュニティとの付き合いは低下しつつあり、東北被災地の問題のみみでなく、コミュニティをどうとらえるかは日本全国の問題となっている。
6) NPOの活動:地方自治体等の行政セクターを支える存在としてNPOが活躍しているが、行政との連携は必ずしも十分ではない。(行政が自らの業務範囲を整理し、対応できない点はうまくNPOと連携を取りながら進めていく等の工夫が必要では。)

以上です。
なお、藤沢さんのお話ですと、コミュニティの弱体をカバーする「新しい社会像」が求められており、その形成のためには以下の動きがポイントになるようです。
1) 企業
:CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)からCSV(Creating Shared Value:共益の創造、単に利益の一部を還元するのではなく、自社資源を使って直接的に社会に関与し課題解決を目指す)へのシフト
2) 行政
:外部企業やNPOとの連携
3) 個人
:SNSの活用により、従来の組織を超えた連携の強化

地域コミュニティの崩壊というのは最近あちこちで言われていますが、今回、改めて全国的な問題と認識しました。
しかし、なぜそれが起きているのでしょうか?

かつては地域の人々と力を合わせて生きていくというのが通例だったと思うのですが、経済成長を成し遂げ、ある程度裕福になったからなのでしょうか?経済成長とプライバシーを守る意識というのは比例するのでしょうか?

人は本質的に他者に干渉されたくないという感覚があると思うので、ある程度自分で生活できるようになったら(経済成長を成し遂げたら)、それを守りたいと思うようになるのかもしれません。
ただ、サステナブルな社会を作るためには、個人個人がつながって、何か事象が起きた時に力を合わせて対応できる仕組みや関係性が必要なのだと思います。
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2013年06月10日

防災、政策策定、医療・介護について

 大分時間が空いてしまいましたが、5月と6月の戦略研関連イベントにつき、以下の通り概要、感想を記載します。

5/15:危機研・政治研「首都直下地震から生き残るために必要な情報とメディアは何か?〜東日本大震災、阪神淡路大震災の発生後の24時間から学ぶ〜」

 表題の件につき、危機研理事長や地方議員、テキストマイニングの専門家から情報提供をしていただきました。
 まず、危機研理事長より過去の事例として阪神・淡路大震災の時、物理的に職員のトップが震災後迅速に移動出来なかったことにより指示機能が麻痺していたという事例を紹介頂き、普段から事態を想定し、具体的行動をシミュレーションしておく必要性を痛感しました。
 次に、行政が出来る事については限界があるという説明が地方議員からありました。確かに人員数や予算等、行政にも制限があり、何でも行政任せでは町の安全は守れないと思います。普段から住民間での情報共有や行政をサポートするNPO等の存在が必要であると感じました。なお、水や電気等のインフラは管理している局や会社が異なるため情報連携が不十分とのことで、そこは共同訓練を行う等で、普段から有事に備えてほしいと思います。
 最後に、ネットの世界から見た防災時の動きですが、東日本大震災の時は、各人が発信するというよりは、他者の発信をリツイートして、拡散させるという動きが多かった様です。その際にリツイートされるのは信用のおける情報であり、震災時は特にNHKの情報提供が早かったようです。色々な情報が錯そうすると人々は混乱し、ネットはそれを増幅させるリスクもあるかと思っていましたが、皆が良識の範囲内で行動することで、一定の信頼のおける情報が流れる仕組みとなっている様です。ただ、当時の反省として、英語の情報発信が少なかったため、海外諸国に誤解されるケースが頻発してしまったとのことです。

5/18:政治研「ニッポンの変え方教えます〜実践的な政策の作り方セミナー〜」

 政策工房の主任研究員の黒澤さんに、同社にて出版した「ニッポンの変え方教えます」(春秋社)をベースに日本の政策の作られ方につき、解説して頂きました。
 日本は政策策定過程における官僚の関与が強く、霞が関文学と呼ばれる独特な言い回しで法案や資料が作られたりするため、そういった知識を持ち合わせた政治家(官僚と対峙できる政治家)が必要であり、政治家のみに期待することが難しいのであれば、それをサポートする政策秘書や政策シンクタンクが必要と感じました。また、民間的感覚から言うと、今の官僚組織はモノポリーであり、それと一定の距離を持つべき政党や政治家が、情報源や政策策定プロセスにつき官僚に完全に依存している状況と思います。人材流動含め、官僚組織はもっとオープンになって良いと思いますし、政党や政治家側も情報ソースを複数持ち、官僚からの情報や意見の確からしさを検証する工夫が必要なのではと思います。

6/1:戦略研「医療・介護制度改革を実現するために〜当事者・納税者の視線で考える〜」

 東京財団の研究員兼政策プロデューサーの三原さんに表題の件につき講演をしていただきました。
 日本の医療・介護制度分野は複雑で良くわからないイメージがありましたが、やはりその通りで、例えば介護報酬のサービスコードは2万件を超え、制度が複雑すぎて使い勝手が悪い状況に陥っている様です。
 これは省令(国会の承認が不要)により細かく規定されたものであり、細かいニーズに対応するための対処なのかもしれませんが、かえって制度を使いづらくし、また、それにより事務コストが上がり、社会保障費削減にも逆効果なのではと思います。
 医療のみでなく、教育や社会インフラ等についても同様ですが、中央が何でも決める制度は改め、運用で各地域に任せた方が良く、つまり、中央集権の仕組みは制度疲労を起こしている状況ではと感じています。

 なお、医療の世界の話に戻すと、今後は、患者の状況を見極め、どの診療を受けるべきかのアドバイスを行ってくれる総合診療のニーズが高まるのではと思いますが、総合診療医はそれだけ知識が豊富でなければならず、中途半端な知識でアドバイスして責任を取らされるリスク等を考えると、成り手が少ないというのが現状の様です。当日も話がありましたが、雑誌やドラマで総合診療医をフューチャーして、その地位を高めるという動きも必要な様です。

 以上分野は様々ですが、それぞれ今の日本の抱える問題について考える良い機会でした。

 なお、医療・介護制度改革につきご興味のある方は東京財団主催(三原さん担当)の以下フォーラム(6/14)に参加されてはと思います。
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/sub1.php?id=398

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2013年04月08日

新しい企業経営の視点(CSR経営)

4月の戦略研は15周年記念ということで、富士ゼロックスの相談役特別顧問(元社長)である有馬さんにお越し頂き、「新しい企業経営の視点」とのタイトルで、CSRを中心とした今後の企業経営の在り方について話をしていただきました。

有馬さんは2002年に富士ゼロックス社の社長に就任され、当時業績が低迷気味であった同社において構造改革を断行し、見事に同社のV字回復を実現された方で、現在は同社のイグゼキュティブアドバイザーでありながら、国連グローバル・コンパクトのボードメンバーや認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム代表理事、また、複数企業の社外取締役等をされています。

講演の内容は@CSRの歴史とその取り組みについて、ACSRの具体的活動:富士ゼロックス社と国連グローバル・コンパクト、BCSRの方向性と経営のあり方について、の3部構成で、CSRの始まりから、その具体的活動事例、そして今後の方向性についてわかり易くご説明頂きました。

各テーマにつき当方が感じた事は以下の通りです。
@ CSRの歴史とその取り組みについて
CSRについては1920年代以降、欧米がそれを主導してきた様ですが、その考え方自体は「三方よし」の近江商人に代表されるように江戸時代の日本には既にあり、個人的には日本企業の寿命が長い理由の一つにこういった考えがベースにあるのではと感じました。ただ、「CSR経営」といった言葉にしてコンセプトを明確にするのは欧米系が得意であり、改めて日本企業(学術界?)の発信力の低さを感じました。まあどこが発信元でも構わないので、その考えがもっと広まっていけばと思います。

A CSRの具体的活動:富士ゼロックス社と国連グローバル・コンパクト
富士ゼロックス社はアジア・パシフィック地域において統合リサイクルシステムを構築(製品の完全リサイクル(一部部品はリユース)を実現)したとのことですが、それを黒字化するのに8年間を要したとのことです。いつ黒字化できるかわからない事業への取組を決断するというのがまさしく経営者の仕事であり、それを実現したことで社会や顧客からの評価が上がり、技術力も向上し、社員のモチベーションも高まったという事と思います。

それから、XEROX社創業者のJoe Wilson氏の理念もご紹介頂きました。”Our business goal is to achieve better understanding among men through better communications.”というもので、事業の目的が「儲ける」という事ではなく、「人間社会のより良い理解をもたらすこと」と定義されています。例えば複写機によって色々な情報が見える化され、人間の相互理解が深まり、それが世界平和に繋がるといったイメージかと思います。グローバル企業は環境破壊や地元文化の破壊等で批判を受ける事は多々あると思いますが、先進的技術の共有や雇用機会の提供等良い面もあり、また、経済を通して人がつながることで相互理解が深まり、紛争を減らす効果もあるのではと思います。従い、個人的にはその活躍に期待しており、企業は更にCSRを意識した経営を行い、その価値を理解してもらう必要があろうかと思います。また、投資の世界ではPRI(Principle Responsibility Investment)やSRI(Social Responsibility Investment)は定着しつつあるようですが、サービスを受ける消費者側もCSRに積極的な企業の商品やサービスを評価するという姿勢が必要と感じました。

B CSRの方向性と経営のあり方について
最後に、有馬さんの考える企業経営の在り方についてお話頂きました。まず、企業品質とは経済性・社会性・人間性のバランスの上に成り立っており(「人間性」が含まれるというのがミソと認識しました)、また、強靭な企業力というのはCSR経営とのコインの表と裏の関係にあるとの事です。また、強靭な企業体質の構築のためには@価値創造システム(基礎能力)の上にAビジネス・モデルとB有用な価値(商品・サービス)が必要であり、ちょうどパソコンの@CPU、AOS、BSoftwareの関係に似ているとの事です。これらにつきそれぞれ改革プランを策定し、それを実行したのが有馬さんが社長時代に進めた「VO6変革」であり、それにより富士ゼロックス社は収益力の高い企業に復活しました。
当方も今後企業を分析する際は、その会社の@基礎能力(CPU)、Aビジネスモデル(OS)、B商品・サービス(Software)が何であるかを分けて考えるようにしたいと思います。

以上です。
という訳で、CSRを中心に企業経営につき講演をしていただいたわけですが、実際に企業のトップとしてそれを実行され、また、国連等で各国のグローバル企業関係者と交流されている有馬さんの含蓄あるお話を聞くことが出来、誠に良い機会でした。

CSRについては、単にボランティアや寄付を通じて社会貢献をするというCSRだけでは不十分で、環境や社会に配慮した製品を作り、他社と差別化し、企業ブランドを上げることで強靭な企業体質を作るという取り組みが各企業に求められている、そしてそれがより良い社会(世界)の構築に役立つと認識しました。
タグ:経営
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2013年02月24日

グローバル戦略/リスクコミュニケーション

 今月の戦略研では鰍きんどスシロー経営企画部長の清水さんにお越しいただき、「グローバル戦略を見つめ直す〜ケースを通して戦略立案を学ぶ〜」とのタイトルで、企業のグローバル戦略について講義をしていただきました。

 清水さんは公認会計士で、大手監査法人にて監査を経験された後、ドリームインキュベータ社でコンサルティングをされていた方なので、これまで多数の企業を見られており、当日はそれらの経験をベースに、複数企業のグローバル戦略について具体的数値を使いながら説明をしていただきました。
 なお、有名企業の規模や海外比率等についてはある程度理解しているつもりでしたが、当日披露頂いたデータと当方の認識とは大分齟齬があった様で、改めて具体的数字で理解する癖をつける必要があると反省しました、、、

 その他当日の主な論点は、以下の通りです。
・「グローバル企業」と一言で言っても、成功理由や進出の理由は各社様々であり、類型化すると、@規模の経済を追求する、A(弱者が)ニッチセグメントとして狙う、B(ビジネスモデル上の)回収エンジン化する、C限られた資源(パートナー、権利)を先行獲得する、の4つに分かれる。
・上記@の代表企業がトヨタ自動車であり、世界規模で規模の経済を追求(ボリュームが見込めるエリアには適宜生産拠点を新設)することにより、18.5兆円もの売上を実現し、海外比率も69.5%に達している。一方、Bの代表企業がマクドナルドであり、事業をフォーマット化(ローカル商品の開発はローカル企業に許可)し、フランチャイズ展開をすることで「回収エンジン化」しており、売上こそはトヨタに及ばないものの、営業利益は0.7兆円と、トヨタの0.3兆円を上回り、営業利益率は32%(トヨタは2%)という高い収益性を維持している。
・他にBの「回収エンジン化」を狙えるのが日本のコンビニであり、各社海外進出を進めているが、セブンイレブンとファミリーマートと比較し、ローソンには出遅れ感がある。その理由として、進出の際に手を組んだ現地パートナーの実力差が考えられる。
等々。

 そして、上記講義の後は参加者でディスカッションを行いました。ユニクロとキッコーマンを題材に挙げ、複数のチームに分かれてそれらの企業のグローバル戦略についてディスカッションし、その内容を発表したわけですが、各チーム示唆に富んだ面白い発表内容でした。

 「グローバル戦略」と言うとつい、「どこにどの様な方法で進出するか?」を考えがちですが、海外の人に必要とされる物やサービスを提供し、それらの人々の生活向上に役立つのが理想であり、進出検討にあたっては、その価値を改めて考える必要があるように感じました。当たり前のことではありますが、自らの提供できるサービスと、受け取る相手方のニーズがマッチするところに可能性があり、それを地域別に分けて考え、場合により形を変えて提供するという事と思います。そしてその次に、独自で進出するのか?パートナーと組むのか?、現地に拠点を作るのか?拠点を移すならどのタイミングで移すのか?、将来どういう仕組を目指すのか?等々を考えていくのだと思います。
 上記類型の通り、進出の方法は様々ですので、他社の事例を参考にしながら、自社のポジションを十分理解した上での進出が必要と思います。また、方法を工夫するだけでなく、それを実行できる人材がいなくてはどうしようもできないので、企業は常に人材育成に取り組み、社員は自己の将来のために自己研鑽に励む事が求められていると感じます。日本国内のみで経済が回せればよいですが、どうもその様な環境では無い様なので、、、


 閑話休題、次に、今月開催した政治研・危機研(合同開催)ですが、今回はテキストマイニングの専門家であるLCCつくばリスクマネジメントの渡部さんにお越しいただき、「リスクコミュニケーションは何か?〜住民と行政、議会との合意形成〜」とのタイトルで講演をしていただきました。
 そもそもリスクコミュニケーションとは何?ということですが、様々な定義があるとは思いますが、当方は「ある特定のリスクについて関係者間で情報や意見を交換し、合意形成を図っていくプロセス」と理解しています。
 渡部さんのお話では、その実現のためには、@日頃からの地道な積み重ね、Aわかり易さ(理屈は後)、Bそれぞれの立場を思いやる、という事が必要とのことです。
 例えば東日本大震災時の福島原発を巡る政府の発表についてはそれらの点が欠けており、それが国民の不信を招いたという事です。

 政治研的に言えば、政治家はこれらの点を十分留意して有権者とのコミュニケーションを図る必要があり、そのためには普段使う言葉や手法にも注意する必要があるという事になると思います。
 例えば、相手がどう受け取るのかを考えて言葉を使っているのか?自分の主張を伝えたいだけになっていないか?相手に分かってもらえるような資料を使っているか?単に文字が羅列されただけのわかりづらい資料になっていないか?伝え方は正しいか?マス向けはある程度致し方ないとしても、一方通行になっていないか?等々、、、

 それから、渡部さんのお話では、現代は情報が多く、細分化された社会のため、対立を生みやすい構造になっているとのことです。だからこそ情報を正しく伝える人が必要であり、情報の伝達方法の工夫が必要な時代と思います。また、人間は合理的であるようで実は合理的ではない面が多々あり、人の気持ちや行動パターンから感じる「感覚」が必要との事でした。

 人が心地よいと思う言葉は決まっており、それをどう使うかによって相手方の取る印象は大きく変わるということでもあるので、まとめると、@人間の事をもっと良く知る、A相手に伝わりやすい言葉を分析する、B伝え方を工夫する、という3点が必要と認識しました。
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2013年01月30日

霞ヶ関改革

 1/20(日)は戦略研の友好団体であるプロジェクトKの架け橋企画に参加しました。
 プロジェクトK(http://projectk.jp/about/)は別名「新しい霞が関を創る若手の会」の事であり、霞が関の若手官僚が中心となって官僚組織の改革案を提案し、その実現へ向けて活動している会です。
 昨年末に3冊目の書籍(「霞が関から日本を変える」マイナビ新書)が出版となり、その記念も兼ね、「今、求められる霞ヶ関改革 〜行政の経営戦略〜」とのタイトルでパネルディスカッションやグループディスカッションが行われました。

 パネルディスカッションのパネラーは、同会のメンバーであり現在地方自治体の重要ポスト(副市長や理事)にて活躍中の3名の方が務め、各自治体のマネジメントとして実際に日々感じられている事を中心に話をされていました。

 話を伺い、当方が面白いと思ったポイントは以下です。
・現在国と地方に求められているマネジメントの形は正反対であり、国はリーダーシップ(トップダウン)を必要としており、地方は職員からのボトムアップを必要としている。
・自治体職員は地方では就職人気が高く、黙っていても応募者が来るため、自治体の人材採用に対するマインドは低くなりがち。一方、霞が関は各省庁で採用活動をしているため、省庁意識が高く、マインドは高い。ただ、それが縦割りの弊害を生む原因ともなっている。
・自治体は財政問題に直面しているため危機意識が高く、実は改革は相応に進んでいる。一方霞が関は、財務省については財政に対する危機意識が高いが、他の省庁はそれ程でも無く、いまだに予算を取ってきた職員が評価される傾向にある。なお、自治体は事業を中止、もしくは効率化した職員が評価される傾向にある。
・霞が関には無駄が多い。国会答弁資料や各種内部・外部資料につき一言一句細かくチェックをするため、時間が相当かかってしまう。一方、地方自治体はそこまで厳格ではなく、それでも十分業務は回っている。

 以上です。

 上述の通り、「地方は職員からのボトムアップを必要としている」とのことであり、それを実現するには人材育成が必要という事と理解しました。全国各地にいる自治体職員の方々がより高いスキルとモチベーションで業務にあたる事ができれば、地方の抱える問題点の解決に貢献できるのではと思います。そのためには今回の3名のパネラーの様に、霞が関を経験した人が地方へ行き、そのノウハウやネットワークを伝えるという動きは重要と思います。また、自治体職員の方が一度組織を出て他を経験し、将来また戻るという動きがあっても良いように思います。日本的な終身雇用というのは良いカルチャーだとは思いますが、とかく組織が硬直化しやすい昨今において、人の流動性というのはもう少しあっても良い気がしています。
タグ:行政
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2012年12月31日

2012年


 2012年を振り返ってみると、個人的にはまずまずの年だったかなと思っています。
 特に大きな成果があるわけではありませんが、淡々と仕事をし、淡々と活動し、淡々と本を読んだというところでしょうか。

 仕事について言えば、出張で中国・オーストラリア・タイ・インドネシアに行く機会があり、それらの国の状況を肌で感じることが出来たというのは収穫でした。

 プライベートな活動については、戦略研含めおそらく20回前後の勉強会に参加し、知見を広めることが出来ました。また、9月には都市農業についての提言も作成しました。ただ、会長として進めている政治研の地方議員サポートプロジェクトがまだ十分軌道に乗っていないため、来年はこの活動を頑張りたいと思います。

 読書については年間100冊は読むつもりでいましたが、結果は72冊でした、、、ジャンルは経済やビジネス関係の本が多いですが、今年は文芸書も意識して何冊か読んでみました。やはり本を通じて他人の人生や感性を知ることが出来るというのは良いですね。心が豊かになる気がします。

 2012年の世の中の事について言えば、世界では各国首脳の交代(米国はオバマ氏再選・ロシアはプーチン氏返り咲き、中国は習近平氏に交代等)、ユーロ危機の継続、シリアの内戦激化、あたりが注目されますが、日本では何と言っても政権交代なのではと思います。特に経済再生を期待されて自民党が圧勝(得票数は伸びず、選挙制度の影響とは言われていますが)したと理解していますが、財政・金融政策のみで景気を回復させるのは困難でしょうから、自民党には3の矢(成長戦略)を期待したいと思います。まあ、政治家のみにそれを期待するのは酷でしょうから、我々国民やビジネスパーソンが考えて行動しなくてはいけない訳ですが、、、
 なお、今後の日本や我々個人の生活を考えた時に避けて通れないのがグローバリズムという問題と思います。来年はTPPが参院選の争点になるとも言われていますが、日本がグローバリズムの荒波の中でどの様に舵を取るのかと言う点が注目されます。個人的には現在グローバリズムの中で仕事をさせて貰っているという事もあり、それ自体を否定できる立場には無いのですが、それが進むとマネーは儲かるところに機動的にシフトし、各国政府がコントロールできなくなり、世界経済が混乱に陥り易くなるという事は事実かと思います。また、それが進むと国の在り方自体が問われることにもなり、その点でユーロが今後どの様に進んでいくのかは非常に注目されます。そして、日本については、TPPに加盟するのか?法人税を諸外国並みに減税するのか?等判断が求められており、ProsConsをしっかりと整理する必要があります。
 国を代表する経済学者がTPP賛成だったり反対だったりと議論が二分していますが、事実を理解し、影響を十分想定した上での判断が必要であり、メディアは中立的な報道を心がけ、国民も自ら情報を取りに行き、感覚ではない事実や正しい推測に基づいた判断がなされるべきと思います。次期参院選までには判断が必要な様ですので、、、
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2012年12月09日

東日本大震災以降の日本の寄付文化と社会起業

 先週の戦略研では、ノーベル化学賞を受賞した山中教授のファンディング方法でも有名になったジャスト・ギビング・ジャパンの佐藤代表理事に「東日本大震災以降の日本の寄付文化と社会起業」とのタイトルで基調講演をしていただきました。また、後半では被災地支援に関与されている計5名の方々にパネラーとなっていただき、パネルディスカッションを行いました。

 ジャスト・ギビング・ジャパンは2001年に英国で設立されたJustGivingの日本版であり、NPO法人等の資金調達をサポートする組織です。仕組としてはチャレンジャー(ファンドレイザー)と呼ばれる寄付を集める人が、支援したいNPO法人等を指定した上で、マラソン等の何等かのチャレンジを公表し、そのチャレンジを応援する人が寄付をするという仕組です。(詳細はこちらご参照→http://justgiving.jp/about/justgiving)そんなことをせずに直接NPO法人等へ寄付すれば良いのではと感じる方もいると思いますが、発信力のある誰かがそういったチャレンジを公表することで資金が集まりやすくなる(対象となるNPO法人等を知らなくても、「あの人が良いと言っているのであれば、良いのでは」と感じる人が多く出る)という点が特徴と思います。
 基調講演の中で印象的だったのは、今の日本には政府や大企業に頼らない仕組みが必要とされている、つまり、財政問題を抱える日本にとっては、今後自分の身の回りのことは自分達で解決するという仕組みが必要という点です。そして、身の回りのことを自分達で解決するために必要なのがNPOであり、それを我々が資金面で支えることにより、社会問題を解決していく必要があるという事です。
 そこで活躍するのがJustGivingであり、寄付をしやすい仕組みを作ることで、NPOへ資金が回るお手伝いをしていると理解しています。なお、寄付をしやすい仕組みの中には制度面の話もあると思いますが、昨年の国会でNPO法が改正となり、寄付金に対し最大50%まで税額控除を受けられることとなり、日本の制度は他国と比較しても遜色ないものとなった様です。
 では今後日本に寄付の文化が浸透するか?という点ですが、寄付をしやすい仕組があれば、ある程度浸透していくのではと思います。また、上記の通り自分の身の回りのことは自分で解決する社会(所謂競争社会という訳ではなく、個人個人が人任せにせずに自分のできることをやり、協力し合う社会という事と理解しています)を目指すのであれば、浸透させていかなくてはならないと思います。そして、寄付先として考えられるのがNPOであり、佐藤さんの話にもありましたが、1人からもらった1,000万円と1万人から1,000円ずつもらった1,000万円では意味が異なり、NPOはボランティアや寄付を通じて個人と社会問題とを結びつける存在なので、多くの人がその存在に気づき、協力をしていくことで社会問題の解決につなげる必要があるのだと思います。
 と、いう事で早速ジャスト・ギビング・ジャパンに登録し、寄付をしてみました。

 また、先週の後半のパネルディスカッションではセキュリテ被災地応援ファンド(http://oen.securite.jp/)の杉山さんにもパネラーとして参加頂き、取組についてご説明いただきました。こちらはミュージックセキュリティズ社の運営するファンドであり、各種TV等で取り上げられており知名度は高いですが、やはり震災から時間が経つにつれ、寄付の額は減少している様です。漁業等、一見復興している様に見える一面はある一方、実際のところは現地ではまだまだ資金に困っており、継続した支援が必要な状況とのことです。
 こちらも早速アカウント登録し、水耕栽培を進めている「さんいちファーム」さんに出資してみました。
 という訳で、震災から1年半以上経過し、その後の寄付の状況につき理解することができ、また社会の変革の流れも把握することができ、大変有意義な会でした。
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2012年10月31日

自治体の情報開示について

 今月は戦略研と政治研を1回ずつ開催したので、概要を下記します。

 まず、戦略研ですが、今回は「本当に効く地域政策の作り方」とのタイトルで公共経営コンサルタントの細川さんに講義をしていただきました。

 そもそも地域政策の定義についてですが、「官・民・学問わず、地域の姿を設計できる政策のこと」とのことで、現状は政策を作っておしまいというケースが多く、その実行までをマネジメントできる組織や人材が少ないという状況の様です。行政はプランの作成に資金や労力をかけることは多くても、実行にはそれほど予算を配分していないという事かと思います。

 効果的な政策を実現するためのポイントは@課題構造の把握、Aアウトプット、Bアウトカムの判定、とのことで、ビジネスの世界も同様ですが、何が課題かを理解し、その解決へ向けて何らかのアウトプットを出し、その結果のアウトカムがどうであったかを判定する、そして、改善点が見つかればそれを考慮して次のアクションを行うという一連の流が必要という事と思います。

 最初の課題構造の把握のためには、いわゆるロジックツリーが有効であり、そこから類推される戦略オプションを一覧にし、比較をすることで、取るべき戦略を絞り込むというプロセスが必要と理解しました。
 ただ、紙で整理したところで実行に移さなければ意味が無いので、関係する人々との認識の共有であるとか、モチベーション向上のための仕掛け、具体的アクションへの落とし込みが更に重要との事です。

 感覚論ですが、最近の各地域・自治体においては、今何をすべきか?という事が十分整理されていない様に思います。一度立ち止まって全体像を見直し、進むべき方向を明らかにしたうえで、その実行と検証を定期的に行う仕組や人材が必要と改めて感じました。また、株主が投資先の企業に対して求めるように、住民の側も、議員や行政に対して方向性の整理や政策の実現を求めなければ、世の中なかなか変わっていかないのではとも感じました。


 次に、政治研についてですが、今回はアスコエ(http://www.asukoe.org/static.php?page=about)代表の安井さんに「自治体Webサイトはなぜ使いにくいのか?」とのタイトルで講義をしていただきました。
 安井さんは戦略コンサルのマッキンゼーのご出身で、その後ご自身でコンピューター関連事業を立ち上げ、2006年にNPO団体のアスコエを設立されました。
 アスコエは「明日の声」からネーミングされており、同社のHPによると、「価値観の多様性を訴え、世の中にあふれる様々なコエが、 世の中を動かしていく原動力であると信じています。そんな多様な「明日の声」を集めて、発信し、地域や社会を変えていこうという思いが、私たちアスコエの出発点です」と記載されています。具体的には、市民の声を参考にしながら自治体や公的機関のWebサイトの評価を行い、また、これまでの調査業務を通じて得たノウハウをベースに自治体のWebサイトの作成をサポートするというビジネスをされていると理解しています。

 当日は自治体のWebサイトとしてカバーすべき項目(ユニバーサルメニュー)についてそれをまとめた資料を見せて頂きながらご説明頂いたのですが、網羅的、且つわかり易く整理されており、貴重なノウハウであると感じました。自治体に限った話ではありませんが、情報の網羅性を持ち、それを分類し、整理するという事の価値を改めて感じました。

 安井さんによれば、行政サービスを行っているにもかかわらず、そのサービスがメニューとして載っていないというのが最も使いづらいサイトであり、まずは漏れを防がないといけないとのことです。ただ、全て載っていればそれでよいかというと当然そうではなく、その情報を分類し、順番を整理するプロセスも大切とのことです。方法としては、色々な情報をツリーにして繋げていくという事と思いますが、並列で選択される項目が8個を超えるとわかりづらくなる様です。

 行政サービスに係る情報については、実は価値のある情報というのは多くあるのではと思います。例えば各種助成金等、知らなくて損しているケースは多く存在していると思われます。政策を作っても使われなかったら意味は無いので、議員や自治体関係者はもっと発信する必要があるのでしょう。その際に重要となるのが自治体のWebサイトであり、興味を持っている人が適切な情報にスムーズに到達できるような工夫が必要と思います。

 政治研では「地方議会の見える化」を実現することで投票率の向上に寄与し、地域住民の声が反映されたより住みやすい地域環境の構築に貢献できればと考えており、キーとなるのが情報(行政関連データ等)と考えています。徐々にではありますが、自治体関連情報がネット等を通じて開示されてきているので、この流れが加速し、地域住民がもっと情報に触れる機会が増えてくれば良いですが、議会の議事録のCSV化(PDFでは加工できないため)や、議会のYou Stream配信等、まだまだ出来ることは沢山あると思います。折角のIT技術ですので、うまく活用しながら、政治の在り方を変えるぐらいの変革があっても良い気がします。


 以上が10月の戦略研と政治研の概要と当方感想となります。なお、今月は上記の他に某早朝勉強会に参加し、長野県佐久市の柳田市長のお話も伺いました。同市長は有権者の声というものをとても意識されており、決定者と責任者は近い方が良いとおっしゃっていました。つまり、意思決定するのは住民であり、住民が自分の意思に責任を持つべきであるため、市が何か判断を迫られた時は住民に経緯を詳しく説明し、十分理解して貰ったうえで判断を仰ぐべきという事の様です。例えば、佐久市では合併特例債による文化会館の建設計画があった様ですが、市民説明会を20回以上実施し、十分説明をした上で住民投票を行い、計画を白紙にしたとのことです。その際に説明会で出た質問と回答を毎回翌日にHPにアップし、情報の透明性と効率性を確保したとのことであり、元来そういったやり取りが書面として残ることを恐れる行政に対し、それを実施させたというのは一定の功績があるものと思います。

 という訳で、今月は自治体の情報開示について考える機会が多かったわけですが、行政側は網羅性のある情報を整理してわかり易く住民へ伝える必要があり、住民側もそのために声を上げる必要があると感じました。
タグ:政治 行政
posted by TK at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする