2014年08月06日

撤退の農村計画

 今月の戦略研は「撤退の農村計画」(学芸出版社)という衝撃的なタイトルの本を執筆され、人口減少に伴う過疎エリアの実態や今後(集団移転等)について研究をされている東大特任助教の林さんとNPO法人国土利用再編研究所の齋藤さんにお話をしていただきました。

 お二人は元々は地域活性をテーマに研究をされていた様ですが、人口減少によって厳しい状況となっている地方をたくさん見られたことで、地域活性すべきエリアと、そうでなく、一旦撤退(集落移転)を検討すべきエリアがあるのではと考える様になり、この分野の研究を進めることにしたそうです。

 確かに、今後日本の人口が凄いスピードで減少していくことは事実であり、これまで通りの行政サービスを全てのエリアに提供するというのは実質的に困難であり、本問題は各個人や集落にまかせっきりにするのではなく、国や県・市レベルで積極的に取り組んでいかなければならない問題と認識しました。

 当日のお二人のお話で印象的だったのは、「集落移転については日本は既にある程度実績を持っており、やり方のノウハウはある。ただし、その事実や効果についてあまり知られておらず、実際にやろうとする動きはあまり多くない」という点です。具体的には、1970年代に自治体の危機意識から集落移転が積極的に行われたことがあり、その時のノウハウが集積されている様ですが、1980年代に入ると国の方針変更の影響により「補助金に頼る地方」という構図が定着し、集落移転の動きも停滞したという事の様です。

 つまり、現在の問題を深刻化させているのは人為的な政策によるものであり、現時点においてもこの問題に正面から取り組んでいる政治家というのはあまり見当たらず、ある種ほったらかしになっているのが現状という事です。

 人口減少になることは統計的に明らかとなっていたのにもかかわらず、明確な政策や方針は示されず、気付いたら一部エリアは高齢者のみの過疎エリアとなってしまっているというのが現状であり、「どこに住もうと個人の自由であり、国がそれを保障する必要がある」ということが原則かもしれませんが、現実問題、財政問題等を考えると全てのエリアに同様に公共サービスを提供することは困難なため、何等かリーダー(政治家等)が明確な指針を示し、住民の納得のもとに集落移転を進めていく必要があるのではと思います。勿論どこを残してどこを移転させるのかという判断は非常に難しく、簡単な事ではないですが、、、

 今回発表頂いたお二人の様な方がいらっしゃる様に、本分野についての知識・ノウハウはある程度溜まっているので、今後はリーダーがそれをどう生かして政策の実現につなげていくのかという点が大切と理解しました。
タグ:行政 政治
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2014年07月05日

八百屋&農家訪問


 先月は休みの日に八百屋さんと農家さんに行ってきました。

 八百屋さんは三軒茶屋の三茶ファームさん、農家さんは茨城の久松農園さんです。

 まず、三茶ファームさんですが、以前本ブログでも紹介しましたが、若手のベンチャー八百屋さんで、三軒茶屋駅すぐ近くの店舗で農家から直接仕入れたこだわり野菜を販売されています。

 当日は、当方が理事をしているNPO法人農業情報総合研究所主催の「八百屋ツアー」として訪問し、同八百屋さんと、その食材を使っている近くのレストランに行き、新規の八百屋ビジネスの実態と野菜の豆知識について学び、また、野菜を使った美味しい料理を堪能しました。

 今回こういった新規形態の八百屋さんの現場へ行って思ったのは、やっぱり二極化は進むんだろうなという点と、八百屋ビジネスは簡単では無いなという点です。

 二極化については以前本ブログでも書いた通り、大手チェーンストアとこういった小規模店舗との二極化で、これは八百屋の世界に限った話ではなく、他の業態でも同じことが言えると思います。世の中が効率化していく中、それで失われた何かを別のところで埋める様に、、、チェーンストアではオーソドックスなものを安価で購入するけど、それでは面白くない(飽きてしまう)ため、一風変わったり、もしくは品質にとてもこだわったものを別の店舗で購入するという様に。

 八百屋ビジネスの難しさについては、何と言っても野菜は質量のわりに値段は安く(場所を取りすぎる)、且つ鮮度が大事という点かと思います。今回訪問した三茶ファームさんも小規模な店舗であり、品ぞろえもかなり絞っている様でした。ただ、店員との距離は非常に近く、調理方法等なんでも質問できる雰囲気なので、そこに価値を感じてくれる顧客をどれだけ獲得できるかがポイントと思います。それでも八百屋のみではなかなか大変なので、その経験を通じた別のビジネス(ネット販売や、本・講演等での情報発信ビジネス、農業・レストラン経営等の川上・川下への進出、もしくはそのアドバイス等?)を同時に行っていく必要があるかもしれません。


 農家の久松農園さんについては、現在定期的に野菜を送って頂いているのですが、旬の食材を旬な時期に栽培し、年間約50種類の野菜を無農薬で栽培するというスタイルのため、毎回送付されてくる中身を見るのが楽しみで、また、野菜本来の香りや味のしっかりした野菜のため、いつも美味しく頂いています。

 その野菜がどういった農地で出来ているのかを今回見てきたわけですが、とても整理された農地で、丁寧に野菜を育てられている様子が良く分かりました。また、その様子を見ることで有難さを実感し、普段贅沢な物を口にしているのだと認識しました。

 因みに野菜の定期便は1回あたり送料込みで3,000円ちょっとですが、その内容量を考えると決して高額ではなく、また外食が減るので、トータルでは家計に優しかったりします。

 当方は、久松さんが執筆された「キレイゴトぬきの農業論」(新潮新書)で紹介されていた”You Are What You Eat.”という言葉(矢野顕子さんの歌詞)に共感しており、何を食べるかでその人の性格や人生は大きく変わるのではと思っています。そして最近料理もするようになり、自分の幅が広がった気がします。まだ料理が出来ると言える程の腕前ではありませんが、、、

 それと、今回特に印象深かったのは久松さんの「最近注目の植物工場はあれはあれで良いが、自分はグッっとこないから今の栽培方法を続けている。」という言葉です。日々の生活や仕事で「グッっとくる」機会を持つというのは簡単なことではないと思いますが、それが多い方が面白い人生ですし、そういった感覚的な部分は大事にしたいと思いました。

 現在言われている日本の農業の問題として、耕作放棄地の増加、農家の減少、自給率の低下、都市農地の減少、国際競争力の低さ等々色々あり、またJA全中の制度改革等が議論されていますが、どれだけグッっときて野菜を「生産」し、「販売」し、「食べている」人がいるかという事が真の豊かな社会なのではと思った次第です。

今回紹介した八百屋さんと農家さんのサイトはこちら↓
三茶ファーム:http://sanchafarm.com/
久松農園:http://hisamatsufarm.com/

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2014年06月20日

ハワイ

 先日、早めの夏休みを取って、ハワイに行ってきました。
 なぜこの時期に行ったかというと、友人の結婚式があったからで、ホノルル郊外の教会での素敵な式でした。

 今回は、折角の機会だったので、オアフ島のみでなく、ハワイ島へも足を運び、その自然の雄大さも楽しんできました。

 スケジュールはざっと以下の通りです。(人の旅行の話など楽しくないとは思いますが、自分の備忘録も兼ね、、、)
1日目:オアフ島経由でハワイ島に到着、到着後ホテル周辺でゆっくり
2日目:ハワイ島周遊ツアーに参加。マウナケア火山周辺の絶景スポットや山頂での日の入り、星空鑑賞等を楽しむ
3日目:ヘリコプター周遊ツアーに参加。火山中心と思っていたが、車では行けない北東部の渓谷エリアまで行き、かなり感動。夜はマンタシュノーケリングの予定だったが、強風のため中止。その代わり、現地のスピリチュアルなガイド(笑)と仲良くなり、地元の人しかいかない絶景スポットに連れて行ってもらい、且つ、一緒に夕飯を食べる。
4日目:オアフ島に移動。アラモアナショッピングセンターでウィンドウショッピング。コンドミニアムに宿泊したため、近くのドンキホーテで米と肉を買って、夕飯は部屋で楽しむ。
5日目:スカイダイビング! 気持ちいいというよりは、最初は強烈、パラシュートが開いた後の後半は左右に揺られて気持ち悪いといった感想、、、 午後はビーチやコンドミニアムのプールでゆっくり(ぐったり?)
6日目:午前はバスで観光、午後は、いよいよ、結婚式に参列。天候も良く、素敵な式だった。
7日目:午前はゆっくり。午後、空港へ向かう際に、コンドミニアムの1階で複数の吉本の芸人を発見!どうやら、ホノルル駅伝に出場するために来ていた模様。
8日目:無事帰国

 以上です。
 感想としては、なんといってもハワイ島の大自然とワイキキのリゾート感がハンパ無いといったところでしょうか。
 ハワイ島については、単に火山の島というイメージが強かったですが、ヘリで見た渓谷群は本当に壮観で、多湿な気候と、人が入りづらい地形が影響している様です。
 また、ワイキキについてはホテルやらお店やら道やらが綺麗で充実しており、また気候も抜群なため、リゾートとしては最高レベルといった感じですね。未だに日本人に人気なのが良くわかります。

 ただ、現地の人に聞くと、必ずしもハッピーなわけではなく、富はアメリカ本土や他国の資本に取られ、現地の人はそれ程良い生活をしているわけではないということの様です。また、ハワイがアメリカに併合されたのは100年ちょっと前の話であり、文化的にもアメリカと親和性が強いわけではないので、アメリカの一員であるという意識は希薄な様です。

 ビジネスの地として魅力かというと、土地は高く、生活費も高いため、また一方で客は旅行客中心のためターゲットが限られ、簡単では無い様です。しかも最近はその観光客も低年齢化が進み、そんなにお金を持っていない様なので… (以前はお金持ちしか行けませんでしたが、海外旅行が一般的となり、若い人が増えている様です。 実際今回もハネムーン風の若いカップルがたくさんいました。)
 ちなみに、ワイキキにできた丸亀製麺には長い行列が出来ていました。

 今後のハワイという意味では、やっぱりアジアの客をどれだけ呼び込めるかといったところでしょうか。アメリカ本土からだとフロリダやメキシコにも似た様な観光地があるため差別化しづらく、富裕層の増加という意味でも東アジアがキーなのではと思います。
 まあ、発展しなければならないということはないので、現状の観光客数ぐらいを維持して、現状のインフラを維持できれば、それはそれで良い(魅力は維持できる)のではと個人的には思ってしまいますが…
タグ:海外
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2014年05月21日

地方議員のお仕事

 次回の統一地方選がいよいよあと1年後に迫ってきました。
 という事で、今月の政治研はその盛り上げ企画ということで、以前にもご参加いただいた中央区議の河井さんと港区議の清家さんにお越し頂き、以下4点を中心にお話をして頂きました。
@議員になって実現しようとしていること、具体的政策
A議員になってこれまでに実現したこと
B議員になる前となった後での議会や議員のお仕事に対する理解のギャップ
C有権者とのコミュニケーション方法

 河井さんは高層マンション新築の影響で増えている新住民と旧住民との交流や安全な街づくりについて、清家さんは子育て対策について特に尽力されており、それぞれ相応の成果をあげられている様ですが、古い体質の議会の中で苦労されていることも多々ある様子でした。

 当方も、今年の3月に自分の住んでいる自治体の予算特別委員会を傍聴してみましたが、かなりクローズな世界で、古い体質であることを実感しました。質問や回答内容があらかじめ決まっている様で、議員や首長は手元にある資料を単に読み上げているだけで、活発な議論は全くなかったです。これでは住民の興味が湧くことは無いのではと、、、興味ある議論をしていない議会が悪いのか、そもそも興味を示さない住民が悪いのか、どっちに問題があるのでしょうか?
 おそらくどっちもという事とは思いますが、、、

 住民が自治体に対して特に不満が無いのなら、このままで良いかと思う時もありますが、より良い社会の実現という意味では、やはり、多くの人が自分の住む自治体の問題を認識して、その解決へ向け努力していった方が良いのではと思います。と言うか、基本的にはそれを実行するのは首長・議員や行政職員なので、それらの方々にリクエストをしたり、その進捗をチェクすれば良いということと思います。勿論自分でボランティア活動をして、物事を解決していくというのも一つの手ですが。

 それと、自治体や議会の情報公開についてですが、インターネットのお蔭で大分進んでいるものの、肝心の政策のポイントや進捗についてはわかりづらいと言わざるを得ない様です。
 例えば、防災について議会についてどういう議論がなされているのかを確認したいとすると、防災特別委員会の議事録等を見に行くということと思いますが、各委員会での議事が一字一句記載されている議事録はあるものの、それらをサマリーした資料は見当たらず、防災について自治体がどういう状態を目指しており、それに対してどこまで実現できており、理想の姿に対して現在何%ぐらいの進捗か、といった情報があると良いと思いました。まあ、情報の出し手がサマリーを作ると、多少恣意性が入ってしまうので、難しいという事かもしれませんが、、、

タグ:政治
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2014年04月21日

いけてる八百屋さん

 今月の農業研は八百屋さんのお話でした。
 と言っても、いわゆる昔ながらの八百屋さんとはちょっと異なり、若者が起業して始めた、おしゃれなおいしい旬の野菜を扱った八百屋さんの話となります。
 
 話を伺ったのは、雪谷と三軒茶屋にてそれぞれ店舗を経営している2人の若手経営者で、お二人に共通する事項として、@農家からの産直がメイン、Aこだわりの野菜(味が決め手)、BITを使ったPR、C店舗がおしゃれ、の4点を感じました。

 かつての八百屋さんのイメージと言うと、野菜が雑然と積まれ、威勢のいい店主が大声を張り上げて集客し、店の真ん中にある小銭の入った籠を使ってお釣りのやり取りをしていたイメージですが、お二人のお店の写真を見る限り、そういった雰囲気は無く、野菜がおしゃれに綺麗に並べられており、ポイントカードやSNSの活用等、いまどきの仕組みも取り入れている様です。また、農家からの産直中心ということで、朝早くに市場へ行く必要もなく、そのお蔭でこだわりのおいしい野菜を安く仕入れられるだけでなく、お店のオープンの時間を遅らせ(昼ごろにし)、仕事帰りのお客さんが買える様に、夜9時頃までお店を開けているとのことです。
 とはいえ、農産物の天候リスクや在庫リスクがあるため、決して大きく儲かる商売ではなく、撤退を決断する人も多い業界の様です。

 八百屋はどうしても商圏が狭いですから、いかに地元にファンを作り、安定的に買ってもらう仕組をつくるかという点がポイントと思いますが、そのためには良い商品と、そのお店ならではの(そのお店で買いたいと思わせる)仕掛けが必要であり、日々のお客さんとのコミュニケーションが大変重要と感じました。ディズニーランドの様な非日常とまでは言いませんが(むしろ毎日のように行くのでまさしく日常ですが)、そこに行ったら幸せな気分になり、気持ちよく買い物ができ、また、おいしい食材を使って豊かな食生活を送れるための手助けとなるような店舗だと良いのではと思います。

 最近スーパーの世界でもM&Aが増え、大きい者がさらに大きくなり、効率重視の傾向にあると思いますが、それにより失われる部分もあり、今後はそういった大型スーパーと、今回話を伺ったような「こだわり小型八百屋」の様な業態の2極化が進むのではと思います。ビジネス成功の要諦と思いますが、「いかに差別化し、顧客に価値を提供できるか」という点を実行している現場の方の声を聞くことが出来、大変参考になりました。

タグ:農業 経営
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2014年04月12日

ビックデータ

 今月の戦略研は東京大学大学院情報理工学系研究科准教授、兼キャノングローバル戦略研究所主任研究員でいらっしゃる大西さんにお越し頂き、最近何かと耳にする「ビックデータ」につき、お話頂きました。

 ビックデータとは、明確な基準はないものの、これまで処理できなかった、もしくは処理に時間がかかっていた大量なデータそのものの事で、ある現象のメカニズムを理解する為に使われることが多く、コンピューターの演算能力向上により、その分析がある程度短時間で可能となったため、最近注目されている分野となります。ただ、当日の話を聞いて当方が理解したのは、データの入手は意外に難しく、そもそも過去のデータは消去されているケース等もあるため、幅広い活用のためにはもう少し時間がかかるのかなと思いました。

 とは言え、金融市場や不動産市場等の既存のデータ分析により、過去には推測でしかなかった事項が証明されることになったりして、実社会の現象を理解するのに既に役立っている様です。また、過去の研究結果により常識と考えられていたことが実データの分析によって覆されることもあり得、かつての学者泣かせとなるかもしれません。

 面白いのは、仮説を検証しにいくと、どうしてもそれに都合の良いデータを集めてしまうことになるため、ビックデータ分析の場合は、極力仮説を立てずに、データから物事を読み取るようにしているという点です。

 現代は情報が溢れている社会と言いますが、それを十分に活用できているとは言い難く、ネットやPCの持つ特徴であるスピードとデータ量をうまく活用し、タイムリーに社会の問題点を把握し、その解決に当れる様な使い方ができると良いのではと思いました。そのためには分析手法を進化させる必要があり、当日のスピーカーである大西さんが実施されている様な研究がますます必要になってくると感じた次第です。
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2014年03月13日

農業+知財


 先月の士業ビジネス研究会/農業情報総合研究所の勉強会では、弁理士の吉永先生にお越し頂き、アグリビジネスにおける知的財産権の成功事例についてお話頂きました。

 個人的には「農業で知財」というものに対してあまりピンときていませんでしたが、様々な切り口からユニークな知財が登録されていることを知り、大変勉強になりました。

 まず、知財といっても何を守るかで色々種類があり、分類すると以下となる様です。

・技術を守る→特許権(特許法)・・・水耕栽培管理システム等
・デザインを守る→意匠権(意匠法)・・・トラクター、ビニールハウス等
・技術を守る→実用新案権(実用新案法)・・・イチゴを傷めない工夫を施した包装箱等
・ブランドを守る→商標権(商標法)・・・「あまおう」「ももいちご」等
・植物新品種を守る→育成者権(種苗法)・・・福岡S6号(あまおうの品種名)等
・公正な競争を守る→不正競争防止法・・・ノウハウ、原産地等
・著作物を守る→著作権(著作権法)・・・ウェブサイト、雑誌、写真等

 ただ、農業関連では件数が少なく、特許・実用新案の出願件数では全体の約1%、商標登録では約2%、意匠登録では約1.5%といった程度の様です。

 従って数的にはそれほど多くは無いのですが、一方で、海外では日本の農産物のブランドや品質は評価されているため、一部の国に無断で新品種の種苗が持ち運ばれ、栽培されていたり、勝手に商標登録(駆け抜け商標登録)されていたりする事例が多くあるようです。

 国際的な知財制度がまだ十分確立されていないため、海外でこういった権利を押さえることは容易では無い様ですが、せっかく日本で関係者の不断の努力により確立された技術やブランドがあるのであれば、それをプロテクトできる様、関係者間での情報共有や政府による啓蒙活動がもっとあっても良い様に思います。日本の農業を海外にアピール(販売)していこうという最近の流れからしても、喫緊の課題と感じました。

 なお、知財活用の具体的事例ということで、吉永先生からは当日3つの事例の紹介がありました。
 概要記載すると以下となります。

1.バラ農家の事例(個人農家のケース)
 某バラ農家がハード面(栽培装置)・ソフト面(栽培方法)両方に特許を持って新品種を開発できる体制を整え、開発した新品種を品種登録し、さらに自分の栽培したバラにブランドを付け、そのブランドを商標登録することで価値を上げている。→最適な知財のポートフォリオを組んでいる事例と理解

2.きのこ生産者の事例(法人のケース)
 日本のきのこの生産は大手3社がほぼ独占している状況で、小規模生産者の生き残りは厳しい状況にあるが、某地域では、地域の小規模生産者を構成員としたネットワーク型農業経営体と、それを運営する組織を作り、同組織が品種開発や技術指導、知財の管理を行うようにした。この結果、同地域の品質が安定し、収量向上も実現できたため、生き残りに成功した。→小規模農家が共同体をつくり、効率的に開発や知財の管理を行った事例と理解

3.産地の知財管理(地域のケース)
 コメ生産調整の対策として「りんどう」の栽培に取り組み、今では国内第1位の生産量をほこる地域となった。市が新品種の開発を行い、生産者が構成員となる社団法人に専用利用権を譲渡。同社団法人が生産物を農協等に販売し、その代金から市へロイヤリティを支払う仕組を構築。ブランド価値を高め、何もない所から、全国生産第一位に上り詰めた。→市が主体となって取組を進め、知財を活用しながら地域のブランド向上を実現した事例と理解

 以上です。

 農業の経営安定化のためには、知財の活用も一つの選択肢と認識した次第です。
タグ:農業
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2014年02月10日

3Dプリンターの未来


 今年最初の戦略研は2/6(土)に「3Dプリンター市場の現状と今後の展開」とのタイトルで外資系戦略コンサルタントの戸川さんに話をしていただきました。
 そう、都内は記録的大雪の中、決行したのです、、、

 3Dプリンターについては、最近よくテレビで、「安価になったことで個人が製造業を始められる時代になった」とか、「心臓疾患を持つ患者の人工の心臓を作って医者が事前に練習ができるため、手術の成功度が上がった」という事例か報道されており、大変興味を持っていました。
 戸川さんの発表は、そういった事例のみでなく、3Dプレイヤーを製造するプレーヤー、市場規模予想、留意点等含め幅広く情報提供して頂いたため、大変参考になりました。

 当方理解としては、3Dプリンターが世の中に与えるインパクトは特に「効率化」と「選択肢」という2つの言葉に集約されるのではと思います。
 つまり、通常、選択肢を増やすと非効率となるわけですが、3Dプリンターにより、これまで金型を製造して試作品を作り上げるまで数週間かかっていた試作期間が1~2日で済むことになるため、大幅な効率化を実現でき、また、安価になれば個人がそこに参入できるため、参加者が増え、選択肢が広がるという事につながるという点です。
 人間の欲求を考えてみても、経済発展段階においては、世界的に有名なブランド品を持ちたがる傾向にあると思いますが、ある程度成熟し、多くの人がブランド品を持ち始めると、今度は自分らしいオリジナリティあふれる商品を持ちたくなる様になると思います。
 それを埋めてくれるのが3Dプリンターという事なのではないかと。

 戸川さんの発表でも紹介がありましたが、クリス・アンダーソン氏は著書「MAKERS」(NHK出版、関美和訳)にて、こういった消費者が欲しいものを生産できる市場を「1万個市場」と呼んでいます。つまり、1万個あれば採算に乗せることができ、一方で大量生産の市場とは一線を画し、ニッチを維持できる市場という事です。

 ただ、3Dプリンターの問題として、多くの物がデジタル化され、コピーが容易にできるようになるため、肖像権の問題があるそうです。例えば、以前中国にて偽ディズニーランドとかドラえもんの被り物とかが問題になりましたが、3Dプリンターにて本物と同様の物が簡単に作れてしまうという事になるのでしょう。まあ、あれは真似はしていないという事なので、そのままかもしれませんが(笑)。
 また、情報がリークした場合、銃などの武器の製造も容易になるため、倫理上の問題もありそうです。個人が銃を作れる様な社会になってしまったら、恐ろしいことです。

 テクノロジーを自ら進化させつつ、それに翻弄される人間という構図が見え隠れしますが、それを解決するのもテクノロジーであり、人間なのではと思いますし、そもそもこういった新しい事を考える事自体が人間が得意とするところなので、必然なのでしょう。
 個人個人としては、社会の流れをウォッチし、乗り遅れない様にするか、乗り遅れても気にしない生活をするか、もしくはそのテクノロジーの先端を行くか、という事になると思いますが、それも選択肢の多い時代の個人の選択という事なのだと思います。

 と、言うわけで、少し論点がずれましたが、当日の当方理解をまとめると以下の通りとなります。

3Dプリンターでできること
・型を使わずに、デジタルデータから直接立体を成形できる。(技術の進化により、様々な色、素材、形の製造が可能になり、将来的には食べ物も作ることができるかもしれない。 また、コンパクトなため、一家に一台置くことが可能)

3Dプリンターのプレーヤー
・プリンターの製造メーカーは米国のSTRATASIS社,3D SYSTEMS社辺りがほぼ独占。
・最近3Dプリンター急に普及し始めたのは、これらの会社の持つ技術の一つが特許切れとなったことによる。

3Dプリンターの市場規模
・2020年までに50億ドル(デジタル一眼レフの市場と同等)〜100億ドル(タブレット・デジカメ市場の約半分)と言われている。

モノづくりへの影響
・これまでは製品を作るまでの工程に価値があり、当然にそれは社内の機密事項であったたが、米国では自社の技術やデザインを公表し、消費者や外部の人に改善をしてもらうというオープンイノベーション的な取り組みがスタートしている。

3Dプリンターの留意点
・銃の部品とその製造方法が流出してしまう危険性や、人気漫画のフィギュア等のコピーが容易になり肖像権の侵害が頻繁に起こる可能性がある点等、課題あり。

以上です。

 3Dプリンターにより世界はますますフラット化し、途上国は先進国との距離を縮め、中小企業は大企業との距離を縮めていくのではと感じました。
タグ:ビジネス
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2013年12月31日

2013年


 2013年も残り僅かとなってきました。皆様にとってはどのような1年だったでしょうか?

 地球規模的にはアジア、アフリカの動きが活発、且つ不安定な年であったかと思います。
 アジアでは中国や韓国においてリーダーの交代があり、離島を巡る日本との領有権争いが激化、また、両国とも経済の先行き不透明感や格差問題が深刻化。一方、東南アジアではミャンマーを始めとする各国の経済成長が顕著となるなか、タイでは2大政治勢力の抗争が悪化、フィリピンでは猛烈な台風に襲われ7,000人以上の死者・行方不明者を出す被害がありました。
 来年も不安定な状況は継続するのではと思いますが、特に経済情勢は気になります。経済が良くなければ、人々の不安が溜まり、政府がそれを抑えきれずにあらぬ方向へ揺動されるリスクがあると思います故。というわけで、日本としては他のアジア諸国が安定して経済成長できる様、経済面での貢献=ビジネスの結びつきをもっと強くしていければ良いと思います。
 一方、アフリカですが、内戦やテロが絶えません。今年はフランス軍によるマリへの軍事侵攻、日揮のアルジェリア人質事件、ケニアでのアル・カイーダ系テロリストによる商業施設襲撃事件、南スーダンの情勢悪化等々、厳しい話が多かったですね。元々アフリカを植民地化していたヨーロッパ諸国が勝手に各国の国境線を決めたため、民族間の対立が増し、内戦が多いと言われており、彼らが先進諸国の作った武器を輸入して戦っていることを考えると、国際社会の責任という事を改めて感じます。

 国内情勢に関して言うと、参院選での自民党圧勝、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定、アベノミクスによる株価の上昇、等が大きなニュースですかね。猪瀬東京都知事の辞任というおまけ(?)もありました。株価は元々評価が低すぎたものが上昇したとの意見が大勢ですが、1年間で日経平均が倍近く上昇するという急激な上げ幅であり、来年は消費税増税も予定されていることから、ちょっと心配です。中国のバブル崩壊の懸念もあるなか、東南アジア諸国とより緊密な関係を築き、経済を強固なものにしていかなければならないのでしょう。

 というわけで、来年も難しい年になりそうですが、人々の英知を結集させ、また、関係性を強化してその問題解決にあたって行ければと思いますし、個人的にもそういったことに少しでも貢献できる様、活動していければと思います。また、多様性が叫ばれている昨今ですので、自分らしさを意識し、自分が得意なことを伸ばしていける1年にしたいと思います。
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2013年12月02日

首都直下地震から生き残るために必要な情報、コミュニケーション、コミュニティ


 先月の危機研/政治研ではテーマを「首都直下地震から生き残るために必要な情報、コミュニケーション、コミュニティ」とし、危機研メンバー、市議会議員、区議会議員、災害ボランティアの方々にそれぞれ情報提供をしていただきました。

 まず、危機研メンバーからは震災直後の対応につき話があり、東日本大震災や阪神淡路大震災の経験から、「発災後6時間は行政の対応は期待できず、自分たちでどうにかするしかない」という説明がありました。そこで、各人ができることとしては、事前準備として、「各人の年齢・性別・職業等の属性と、場所や時間帯ごとで想定される状況や必要とするもの等を記載した紙を準備し、家族や職場で共有しておく」という提案がありました。

 次に、議員の方々からは最近の各地域での具体的取り組み内容につき説明頂きました。例えば、「ハード面は対応が進みつつあるが、ソフト面での対応が間に合っていない」という話ですが、学校の耐震化や太陽光パネルの設置は進みつつあるが、避難場所としての運営については教育委員会の協力を得られていないという現状や、デジタル無線機を導入したが、使い方がいまいち普及していないという現状があるようです。
 また、都内のタワーマンションが最近増えていますが、住民同士のコミュニケーションが希薄のため、実際何か起こった際に、協力的に対応する仕組みが出来ていないという指摘もありました。マンション住民はそういったことまで行政に支援してもらうわけにいかないでしょうから、自主的に普段から防災訓練やそれに準じたイベントを実施する必要があるのでしょうが、リーダーシップをとる人間がおらず、実施出来ていないマンションは多いのではと思います。
 それと、特に都内では、帰宅困難者の問題があるという話もありました。日中に災害が起きた場合は、都心に働きに来ている人が多いでしょうから、それらの人々の避難地域を確保する必要がある一方、区としては、住民税を支払っている区民を優先せざるを得ないという事情があるという点です。この解決のためには、企業の協力が必要なわけですが、現状はほぼ自主的な対応に任されており、実際に都内で災害があった場合、混乱が予想されます。こういった問題は、より広域ということで、都議会でもカバーすべきエリアであり、都議会と区議会の協力を期待します。

 最後に、災害ボランティアの方からは東京消防庁の災害時支援ボランティアの実態についてお話いただきました。同ボランティアは、「何か災害が発生した時に、あらかじめ登録している消防署や最寄りの消防署に参集し、東京消防庁が行う消防活動を支援する、事前登録制の専門ボランティア」であり、17,000人以上が登録しているとのことです。相当な人数ですよね。
 災害発生時はリーダーやコーディネーターが不在の場合が多く、混乱が予想されますので、普段から訓練を受け、登録されている方々がこれだけいるというのは心強い限りです。なお、ボランティアの方々は災害時の対応のみでなく、同制度に登録する事で、普段から防災意識が高まるという効果もある様です。

 以上です。

 なお、危機研/政治研では今後も震災時の対応や事前準備・政策等について情報収集・分析し、知見を深めるとともに、情報発信をしていければと考えています。
タグ:政治 行政
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