2015年04月25日

医療の産業化


今月の戦略研は医療法人社団KNI理事長の北原先生にお越しいただき、「病院がトヨタを超える日〜公的医療保険制度はほんとうに大丈夫?〜」とのタイトルでお話頂きました。

タイトルがやや刺激的ですが、同氏は「「病院」がトヨタを超える日〜医療は日本を救う輸出産業になる!〜」(講談社)という書籍も書かれており、医療崩壊を防ぐためには医療業界は産業化すべきと主張されています。

日本の医療は医療法人という独特の制度のせいか、何かとアンタッチャブルな雰囲気がありますが、高齢化の世界において、これから益々必要となるものであり、技術の革新や、より良い医療の実現のためには、外部の目や経営の視点が入って成長を目指す「産業化」という道は確かに必要なのではと思います。

この問題になると必ず出てくる批判が、「人命はお金で買うべきではない」とか、「金持ち格差を助長する」という意見ですが、診療報酬制度によって、異なるクオリティの医療が同一の料金で提供されている現在の制度では適切な競争がなく、努力(設備投資)をしない病院の方が儲かるという仕組みになってしまい、医療の発展が妨げられる、逆に言えば我々国民は低いレベルの医療にお金を払わされ(日本の医療レベルが低いとは思いませんが、費用対効果として、、、)、結果的に多くの医療費負担を課せられるということにつながるのだと思います。また、もっと言うと、全国一律の医療レベルを前提としているため、各病院の症例や実績は十分に開示されておらず、患者はそれらの情報が無いまま、妄信的に自分の通う病院を信じて自らの命を預けるということが起きていると言えます。

国家財政は火の車で、医療費負担は極力減らしたいという状況と思いますので、経営の視点から無駄を省いたり、医療技術・設備等の進歩により国民トータルの治療費負担を減らす仕組みを作っていいかないといけない状況ですし、また、高齢化の先頭を行く日本が医療を産業化し、諸外国にその技術を輸出できれば、経済の安定化や諸外国との外交関係にもプラスに働くと思います。

医療についてはこれまであまり理解できていなかったので、今後勉強していきたいと思います。
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2015年03月22日

地方議会の現状 〜4月の統一地方選へ向けて〜

 
 今月の政治研は企業広報アドバイザー兼コラムニストの新田さんにお越し頂き、「地方政治に普段興味のないビジネスパーソンが統一地方選でスパッと投票する方法〜こんな地方議員もいるんだよ〜」のタイトルで、地方議会の現状と具体的議員の取組内容等についてお話頂きました。

 まず、新田さんのコラムですが、以下の記事は衝撃でした。
 「港区議会が、議員の取材対応を制限していた」
 http://toyokeizai.net/articles/-/56961
 つまり、公人である一人の議員が、なぜか取材を受ける時に議長に相談しなければならないということになっているようです、、、
 一般企業の社員と社長ならわかりますが、有権者に選ばれた一議員が、なぜ同様に他の有権者に選ばれた議長に相談する必要があるのでしょうか、、、議会を会社か何かと勘違いしているのかもしれませんが、議会は各有権者に選ばれた議員がそれらの有権者を代表して意見を主張し合う場であり、透明性や自立性が大事で(そもそも言論の府であり)、議長に言論統制の権限は無いと思います。
 こんなことが東京の中心に位置する港区で起きているのです。

 去年はヤジ問題や調査費の不正受給問題で注目された地方議会ですが、まだまだ問題は山積の様です。
 そんな中、来月には4年ぶりの統一地方選が予定されているわけですが、あまり盛り上がっていませんね、、、

 さて、当日の新田さんのお話ですが、概要はざっと以下の通りです。

・地方議会における議員立法は殆どなく、全体の約90%が市長提案(実質役所職員提案)、残り10%は議員提案ではあるが、意見書が殆どであり、政策的条例案は1%にも満たない。
つまり、地方議員は市長提案のチェック機能しか果たしていない。(本来は2元代表制のため、お互いがアイディアを出し合い、議論をすることが理想とは思われる。)
・地方議会の話は特定の市区町村のみに関係する事柄のため、関心を持つ人が少なく、ニュースになりづらい
・そんな議会ではあるが、最近のイノベーショントレンドはある。例えば、ネットの活用、コミュニティ再構築、ダイバーシティ、ゼロ予算
・具体的議員で言えば、
北区、おときた議員:ブログで毎日活動内容を配信
我孫子市、水野議員:議員活動を「部活」と称し、身近な活動に
渋谷区、長谷部議員:グリーンバードという街のゴミ拾いを行うNPO法人の活動を通じでコミュニティオーガナイジングを実施
世田谷区、上川議員:性同一性障害であることを公表し、議員に当選
あきる野市こごもり議員:民間マネーを活用してAEDを無料設置

・議員は我々有権者の鏡であり、税金がどう使われるのかを決めるのは我々自身。まずはネット等を活用して、自分の街のことに目を向けてみてはどうか。
・なお、「誰に投票すればよいか?」との問いに対しては、流山市議松野氏の良い候補者選び10の基準↓は参考になる。
http://seijiyama.jp/article/columns/lm/lm20150304.html


 以上です。
 
 関心が無いということは普段不利益を感じていないということとも言え、無理に関心を持ってもらう必要は無いのかもしれませんが、我々は社会とのつながり無しには生きられない世の中を作り上げてきており、身近なこと(政治)への関心が国への関心につながり、また、世界への関心につながるのではと思うので、より住みやすい世の中を作っていきたい(もしくは誰かに作って欲しい)と思うのであれば、まずは身近なところから関心を持つということはあって良いのではと思った次第です。
 という訳で、来月の統一地方選の投票には行きましょう!
 ちなみに自分の住んでいる地域の議員がどういった人達かを検索するためには以下の「政治山」のサイトが役立ちます。(ご担当の方に以前政治研でも発表してもらいました)
http://seijiyama.jp/statesmen/

タグ:政治
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2015年02月28日

シェールOil/Gas

 今年最初の戦略研はエネルギー専門家の大場さんにお越し頂き、シェールOil/Gasについてお話し頂きました。
 シェール資源開発については住友商事の巨額損失が記憶に新しいところですが、大場さんの話を伺うと、起きるべくして起きたという気がしないでもありません、、、
 というのは、シェールOil/Gasは資源量(「資源量」は発見された鉱物の存在量のこと。一方「埋蔵量」は資源量のうち、将来にわたり商業的に採取可能と見込まれる量のこと)は豊富にある様ですが、実際の採掘量については、EIAの発表によると、実は当初想定の20%ぐらいしか採掘できていないということの様なのです。また、シェールOil/Gasの採掘は、1度始めると止めることができないため、相場の変動に柔軟に対応できない(資金繰りもきつくなる)という問題もあるようです。
 それでもここ数年「シェール革命」ともてはやされていたのはマスコミの扇動(特集すれば売れるから?)による部分もあった様で、当時ネガティブな記事は殆ど掲載されなかったようです。

 それにしても最近の原油価格の変動は異常だと思います。振れ幅が大きすぎるため、リスクが大きいと判断され、新規投資の委縮にもつながってしまうようで、経済への影響が懸念されます。
 また、エネルギー問題は各国のパワーバランスにも直接的に影響を及ぼします。先日も米国とキューバが急に関係を修復するという報道がありましたが、その背景には原油価格の下落によりベネズエラがキューバの面倒を見切れなくなったというものがあると言われています。

 このような状況ですと将来を見通すことができず、守りに入る人が増えてきて、結局は世界経済全体にとって良くないのではと思いますが、各国や各人のエゴが渦巻くこの世の中において、全体最適を取るというのは至難の業ということですね、、、
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2014年12月21日

防災への新しい視点とアクション事例の紹介


 今年最後(12月)の戦略研はテーマが防災でした。

 日本は阪神淡路大震災や東日本大震災を経験したものの、防災を日々意識して生活している人は少ないのではと思います。自分もどちらかというとその部類で、あまり準備できていないのが現状です。

 当日は、防災の情報発信を行っている港区議の横尾さん、防災ガールという新しいコンセプトで防災を広めている田中さん、防災のワークショップを各地で開催されている伊丹さん・吉高さんにお越し頂き、普段の取組内容の説明やワークショップを行って頂きました。

 それぞれの取組内容は以下の通りです。

横尾さん:マチノコト
http://www.machinokoto.net/
 2人のライターが中心となって、街づくりに関連した情報を発信しています。前身となる母体では、東日本大震災を中心とした防災情報のみを取り扱う活動をされていたようですが、範囲を街づくりに広め、「防災を意識した街づくり」を一つのテーマとして活動されているとのことです。結構な頻度で取材記事が掲載されており、基本的に手弁当でやっているようなので、大変な事と思います。一つ一つの記事は読むとあっという間ですが、その裏では結構時間をかけて取材をされているのではと、、、日本各地のユニークな活動内容等が紹介されており、参考になります。

田中さん:防災ガール
http://bosai-girl.com/
 名前からしてユニークですが、つながりの薄そうな「防災」と「ガール」を融合させ、防災意識が特に低いと言われている若い女性世代(20代〜30代)が中心となって、サイト運営や各種活動を行っています。「防災をもっとオシャレでわかりやすく」をコンセプトに、おしゃれな防災グッズの販売や各種イベントを開催しており、まだ初めて1年強の様ですが、かなりしっかり運営されている様です。ウェブを活用した全国各地のメンバーとのネットワーク化や防災ガール認定の制度(認定を受けるためにはWebテストに合格する必要があり、認定を維持するためには定期的に防災知識をアップデートしないといけないとのこと)等があり、他のスタートアップ事業を行う人にも参考となる取組なのではと思いました。

伊丹さん・吉高さん:CCJ
http://communitycrossing.net/
 「よき避難者を育てる」というコンセプトのもと、各地でワークショップや講演会、コンサルティング等を実施している団体で、当日はトイレの重要性について考えるワークショップを行って頂きました。一般的に「震災後72時間は公助が届かない」と言われており、物資は基本的に自分達で調達する必要があり、また、トイレについても自分達でどうにかしなければならない状況に陥ると考えた方が良い様です。ただ、妙案はなかなか無く、各自がコンビニで売っている様な簡易トイレシートを普段から持ち歩いておくとか、家に常備しておくという対応が必要そうです。また、避難所ではプライバシーの意識が低いため、特に女性のトイレには気を遣う必要がありそうです。

 以上です。

 防災については色々な方々が色々な活動をされており、大変参考になると共に、日本に住んでいる以上、自分ももっと感度を高くし、普段から準備をする必要があると感じました。


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2014年10月13日

戦略研100回記念!

 先週は、ついに戦略研100回記念ということで、ミーティング参加者で10年後の日本についてのディスカッションを行いました。

 ディスカッションの基となる情報は戦略研運営委員から提供し、当方も「日本企業のM&A動向と国際収支の推移」というテーマで、日本企業の過去10年のM&A動向についての情報提供と、日本の国際収支の推移についての情報提供を行いました。

 元々は、自分の仕事にも関係する「M&A」が日本企業の今後の成長に大きく寄与し、また、これまでも経済の下支えとなってきたのではという想いからM&Aについて調べましたが、経済全体で考えた場合、その影響は限定的であり、それなりの時代の趨勢は見て取れるものの、やはり各社の地道な経営活動が経済を支えていると実感しました。

 なので、過去10年のM&A動向自体はそれ程面白いものではなかったのですが、全体像では、ざっと以下3点の特徴があったと思います。@リーマンショックの影響により、2008年以降は件数が急速に減少。ただし、最近はやや戻りつつある。A日本企業同士のIn-Inの案件が全体の約8割、2割弱が海外企業を買収するIn-Out、残りの5%弱が日本企業が買収されるOut-In案件、B1件当たり平均額でみると、金融業の案件規模が大きい。

 また、日本経済の大きな流れとしては、「企業数の減少」と「産業構造の変化」も特徴的と思い、情報シェアしました。かつては中小製造業が多く、日本は輸出を中心に外貨を稼いでいましたが、最近はサービス業が増え、外貨は海外投資のリターンとして得る時代に変わってきたという考えが背景にあったためです。

 その流れで国際収支についても触れ、「福島の原発事故以降、エネルギー価格と購入量の増加により貿易収支は赤字に転落したものの、海外からの利子・配当収入である第一次所得収支がそれをカバーし、経常収支はプラスで推移している」という話をしました。つまり、日本全体ではある種「資本家」の論理として、これまで稼いだお金を海外に投資することで、海外から資金を吸い上げる形になっており、輸出で稼がなくても、「金持ち父さん」的なお金がお金を生んでくれている状況になっているのではと申し上げました。あくまで政府ではなく、個人や企業を含めた日本全体としてですが。政府は借金まみれですので、、、

 これを受けて、「日本は今後どういう産業構造で、海外とはどう付き合っていけば良いか」みたいな議論ができればと思いましたが、テーマが広すぎてなかなか難しく、一方、参加者の皆さんは普段から色々考えることがあるようで、それぞれ自由に意見を言って頂き、ディスカッション自体は面白かったのではと思います、、、

 当方の前に行った新田代表の情報提供の中にあったのですが、「今後グローバル化の進展やマネジメント手法の進化により企業規模が拡大し、一方ITの進歩によりどこでも仕事ができるようになるため、大企業とフリーランスの個人が協働する時代がくるのでは」という予測があり、そうなってくると、どの国や地域に所属するかという問題より、どの企業に所属するか、とか、どの企業と仕事をするかという問題の方が強くなり、国や地域の役割といったものも変わっていくのではという議論がありました。

 「格差の拡大」がグローバル化の功罪としてよく問題視されますが、ITの進化を含めこの流れを止められないとすると、個人が個人の身を守るという世知辛い世の中になってしまうのかもしれません、、、
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2014年08月16日

政治・選挙でのネット活用

 今月の政治研は、政治ポータルサイト「政治山」を運営されている潟pイプドビッツの市ノ澤さんにお越し頂き、「政治・選挙でのネット活用」とのタイトルでお話をしていただきました。

 普段あまり聞けない、その道のプロならではの情報が多く、大変参考になりました。

 まず、「政治山」ですが、過去に本ブログでも紹介したかもしれませんが、政治に関するWebプラットフォームであり、政治関連の情報が豊富にわかり易くまとめられています。特に選挙の時には、有権者が自分の選挙区の候補者やその属性を簡単にチェックする事ができ、利便性が高いです。(他に、選挙結果や各種リサーチ結果、政党、各議会へのアクセス等も可能で、非常に整理されています。)
http://seijiyama.jp/

 そのようなサイトを運営されている方に、普段の取組内容や、ネット選挙をめぐる最近の動向について直接お話を聞けたのは大変ありがたかったです。

 箇条書きとなりますが、当日の当方の気づきとしては以下となります。

・選挙時のメールやSNSを使った投票依頼については、現状はケース別に可否が細かく決められており非常にわかりづらいため、現在総務省が見直し中

・ネット選挙導入により、これまで「感性」で候補者を選んでいた世界が、今後はより「データ」重視に移行される

・前回の国政選挙では、有名人によるツイート等で公示日にWebのヒットが急増した候補者がいたが、その後アクセスが減り落選。一方、徐々にヒット数が増加し、投票日間近になって急増した候補者は当選した。(空中戦のみでは難しい?)

・同選挙では、選挙公示前は40%ぐらいの人がネットに期待をしていたが、実際に投票の際にネットを活用したという人は10%ぐらいに留まった。→政治家の出す情報と有権者の求めている情報にミスマッチがあるのでは?

・都知事選での家入氏の取組は、少なくともネットの活用という観点では面白いものであった。(政策の募集・オープンデータの取組・ポスター掲示板のデータ化等)

・選挙はこれまでは「雰囲気」だった。最近はどの年代のどういった人が何に興味を持っているのかの情報収集が可能となってきており、また、どの媒体がどの様に効果的かという事も明らかになってきている。(推薦ハガキの効果は実は薄かった???)

・セキュリティは重要であり、技術面ではある程度確保されているが、実は人為的な行為等による運用面の問題が多い。

・低投票率の問題を解決するにはネット選挙のみでなく、ネット投票(自宅等でPCで投票)の導入が必要か!?

以上です。

 最近、地方議員の資質が問題となっていますが、有権者である我々のチェック体制や投票行動に問題があるとも言え、せっかくネットという安価で大量の情報をわかり易く届けるツールがあるのですから、これを活用しない手は無いと思います。
 実際、徐々にではありますが活用の事例は増えてきており、我々がそういった情報を積極的に取りに行くことで政治家の質が上がり、より良い社会の実現が可能になるのではとシンプルに考えています。
タグ:政治
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2014年08月06日

撤退の農村計画

 今月の戦略研は「撤退の農村計画」(学芸出版社)という衝撃的なタイトルの本を執筆され、人口減少に伴う過疎エリアの実態や今後(集団移転等)について研究をされている東大特任助教の林さんとNPO法人国土利用再編研究所の齋藤さんにお話をしていただきました。

 お二人は元々は地域活性をテーマに研究をされていた様ですが、人口減少によって厳しい状況となっている地方をたくさん見られたことで、地域活性すべきエリアと、そうでなく、一旦撤退(集落移転)を検討すべきエリアがあるのではと考える様になり、この分野の研究を進めることにしたそうです。

 確かに、今後日本の人口が凄いスピードで減少していくことは事実であり、これまで通りの行政サービスを全てのエリアに提供するというのは実質的に困難であり、本問題は各個人や集落にまかせっきりにするのではなく、国や県・市レベルで積極的に取り組んでいかなければならない問題と認識しました。

 当日のお二人のお話で印象的だったのは、「集落移転については日本は既にある程度実績を持っており、やり方のノウハウはある。ただし、その事実や効果についてあまり知られておらず、実際にやろうとする動きはあまり多くない」という点です。具体的には、1970年代に自治体の危機意識から集落移転が積極的に行われたことがあり、その時のノウハウが集積されている様ですが、1980年代に入ると国の方針変更の影響により「補助金に頼る地方」という構図が定着し、集落移転の動きも停滞したという事の様です。

 つまり、現在の問題を深刻化させているのは人為的な政策によるものであり、現時点においてもこの問題に正面から取り組んでいる政治家というのはあまり見当たらず、ある種ほったらかしになっているのが現状という事です。

 人口減少になることは統計的に明らかとなっていたのにもかかわらず、明確な政策や方針は示されず、気付いたら一部エリアは高齢者のみの過疎エリアとなってしまっているというのが現状であり、「どこに住もうと個人の自由であり、国がそれを保障する必要がある」ということが原則かもしれませんが、現実問題、財政問題等を考えると全てのエリアに同様に公共サービスを提供することは困難なため、何等かリーダー(政治家等)が明確な指針を示し、住民の納得のもとに集落移転を進めていく必要があるのではと思います。勿論どこを残してどこを移転させるのかという判断は非常に難しく、簡単な事ではないですが、、、

 今回発表頂いたお二人の様な方がいらっしゃる様に、本分野についての知識・ノウハウはある程度溜まっているので、今後はリーダーがそれをどう生かして政策の実現につなげていくのかという点が大切と理解しました。
タグ:行政 政治
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2014年05月21日

地方議員のお仕事

 次回の統一地方選がいよいよあと1年後に迫ってきました。
 という事で、今月の政治研はその盛り上げ企画ということで、以前にもご参加いただいた中央区議の河井さんと港区議の清家さんにお越し頂き、以下4点を中心にお話をして頂きました。
@議員になって実現しようとしていること、具体的政策
A議員になってこれまでに実現したこと
B議員になる前となった後での議会や議員のお仕事に対する理解のギャップ
C有権者とのコミュニケーション方法

 河井さんは高層マンション新築の影響で増えている新住民と旧住民との交流や安全な街づくりについて、清家さんは子育て対策について特に尽力されており、それぞれ相応の成果をあげられている様ですが、古い体質の議会の中で苦労されていることも多々ある様子でした。

 当方も、今年の3月に自分の住んでいる自治体の予算特別委員会を傍聴してみましたが、かなりクローズな世界で、古い体質であることを実感しました。質問や回答内容があらかじめ決まっている様で、議員や首長は手元にある資料を単に読み上げているだけで、活発な議論は全くなかったです。これでは住民の興味が湧くことは無いのではと、、、興味ある議論をしていない議会が悪いのか、そもそも興味を示さない住民が悪いのか、どっちに問題があるのでしょうか?
 おそらくどっちもという事とは思いますが、、、

 住民が自治体に対して特に不満が無いのなら、このままで良いかと思う時もありますが、より良い社会の実現という意味では、やはり、多くの人が自分の住む自治体の問題を認識して、その解決へ向け努力していった方が良いのではと思います。と言うか、基本的にはそれを実行するのは首長・議員や行政職員なので、それらの方々にリクエストをしたり、その進捗をチェクすれば良いということと思います。勿論自分でボランティア活動をして、物事を解決していくというのも一つの手ですが。

 それと、自治体や議会の情報公開についてですが、インターネットのお蔭で大分進んでいるものの、肝心の政策のポイントや進捗についてはわかりづらいと言わざるを得ない様です。
 例えば、防災について議会についてどういう議論がなされているのかを確認したいとすると、防災特別委員会の議事録等を見に行くということと思いますが、各委員会での議事が一字一句記載されている議事録はあるものの、それらをサマリーした資料は見当たらず、防災について自治体がどういう状態を目指しており、それに対してどこまで実現できており、理想の姿に対して現在何%ぐらいの進捗か、といった情報があると良いと思いました。まあ、情報の出し手がサマリーを作ると、多少恣意性が入ってしまうので、難しいという事かもしれませんが、、、

タグ:政治
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2014年04月21日

いけてる八百屋さん

 今月の農業研は八百屋さんのお話でした。
 と言っても、いわゆる昔ながらの八百屋さんとはちょっと異なり、若者が起業して始めた、おしゃれなおいしい旬の野菜を扱った八百屋さんの話となります。
 
 話を伺ったのは、雪谷と三軒茶屋にてそれぞれ店舗を経営している2人の若手経営者で、お二人に共通する事項として、@農家からの産直がメイン、Aこだわりの野菜(味が決め手)、BITを使ったPR、C店舗がおしゃれ、の4点を感じました。

 かつての八百屋さんのイメージと言うと、野菜が雑然と積まれ、威勢のいい店主が大声を張り上げて集客し、店の真ん中にある小銭の入った籠を使ってお釣りのやり取りをしていたイメージですが、お二人のお店の写真を見る限り、そういった雰囲気は無く、野菜がおしゃれに綺麗に並べられており、ポイントカードやSNSの活用等、いまどきの仕組みも取り入れている様です。また、農家からの産直中心ということで、朝早くに市場へ行く必要もなく、そのお蔭でこだわりのおいしい野菜を安く仕入れられるだけでなく、お店のオープンの時間を遅らせ(昼ごろにし)、仕事帰りのお客さんが買える様に、夜9時頃までお店を開けているとのことです。
 とはいえ、農産物の天候リスクや在庫リスクがあるため、決して大きく儲かる商売ではなく、撤退を決断する人も多い業界の様です。

 八百屋はどうしても商圏が狭いですから、いかに地元にファンを作り、安定的に買ってもらう仕組をつくるかという点がポイントと思いますが、そのためには良い商品と、そのお店ならではの(そのお店で買いたいと思わせる)仕掛けが必要であり、日々のお客さんとのコミュニケーションが大変重要と感じました。ディズニーランドの様な非日常とまでは言いませんが(むしろ毎日のように行くのでまさしく日常ですが)、そこに行ったら幸せな気分になり、気持ちよく買い物ができ、また、おいしい食材を使って豊かな食生活を送れるための手助けとなるような店舗だと良いのではと思います。

 最近スーパーの世界でもM&Aが増え、大きい者がさらに大きくなり、効率重視の傾向にあると思いますが、それにより失われる部分もあり、今後はそういった大型スーパーと、今回話を伺ったような「こだわり小型八百屋」の様な業態の2極化が進むのではと思います。ビジネス成功の要諦と思いますが、「いかに差別化し、顧客に価値を提供できるか」という点を実行している現場の方の声を聞くことが出来、大変参考になりました。

タグ:農業 経営
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2014年04月12日

ビックデータ

 今月の戦略研は東京大学大学院情報理工学系研究科准教授、兼キャノングローバル戦略研究所主任研究員でいらっしゃる大西さんにお越し頂き、最近何かと耳にする「ビックデータ」につき、お話頂きました。

 ビックデータとは、明確な基準はないものの、これまで処理できなかった、もしくは処理に時間がかかっていた大量なデータそのものの事で、ある現象のメカニズムを理解する為に使われることが多く、コンピューターの演算能力向上により、その分析がある程度短時間で可能となったため、最近注目されている分野となります。ただ、当日の話を聞いて当方が理解したのは、データの入手は意外に難しく、そもそも過去のデータは消去されているケース等もあるため、幅広い活用のためにはもう少し時間がかかるのかなと思いました。

 とは言え、金融市場や不動産市場等の既存のデータ分析により、過去には推測でしかなかった事項が証明されることになったりして、実社会の現象を理解するのに既に役立っている様です。また、過去の研究結果により常識と考えられていたことが実データの分析によって覆されることもあり得、かつての学者泣かせとなるかもしれません。

 面白いのは、仮説を検証しにいくと、どうしてもそれに都合の良いデータを集めてしまうことになるため、ビックデータ分析の場合は、極力仮説を立てずに、データから物事を読み取るようにしているという点です。

 現代は情報が溢れている社会と言いますが、それを十分に活用できているとは言い難く、ネットやPCの持つ特徴であるスピードとデータ量をうまく活用し、タイムリーに社会の問題点を把握し、その解決に当れる様な使い方ができると良いのではと思いました。そのためには分析手法を進化させる必要があり、当日のスピーカーである大西さんが実施されている様な研究がますます必要になってくると感じた次第です。
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2014年03月13日

農業+知財


 先月の士業ビジネス研究会/農業情報総合研究所の勉強会では、弁理士の吉永先生にお越し頂き、アグリビジネスにおける知的財産権の成功事例についてお話頂きました。

 個人的には「農業で知財」というものに対してあまりピンときていませんでしたが、様々な切り口からユニークな知財が登録されていることを知り、大変勉強になりました。

 まず、知財といっても何を守るかで色々種類があり、分類すると以下となる様です。

・技術を守る→特許権(特許法)・・・水耕栽培管理システム等
・デザインを守る→意匠権(意匠法)・・・トラクター、ビニールハウス等
・技術を守る→実用新案権(実用新案法)・・・イチゴを傷めない工夫を施した包装箱等
・ブランドを守る→商標権(商標法)・・・「あまおう」「ももいちご」等
・植物新品種を守る→育成者権(種苗法)・・・福岡S6号(あまおうの品種名)等
・公正な競争を守る→不正競争防止法・・・ノウハウ、原産地等
・著作物を守る→著作権(著作権法)・・・ウェブサイト、雑誌、写真等

 ただ、農業関連では件数が少なく、特許・実用新案の出願件数では全体の約1%、商標登録では約2%、意匠登録では約1.5%といった程度の様です。

 従って数的にはそれほど多くは無いのですが、一方で、海外では日本の農産物のブランドや品質は評価されているため、一部の国に無断で新品種の種苗が持ち運ばれ、栽培されていたり、勝手に商標登録(駆け抜け商標登録)されていたりする事例が多くあるようです。

 国際的な知財制度がまだ十分確立されていないため、海外でこういった権利を押さえることは容易では無い様ですが、せっかく日本で関係者の不断の努力により確立された技術やブランドがあるのであれば、それをプロテクトできる様、関係者間での情報共有や政府による啓蒙活動がもっとあっても良い様に思います。日本の農業を海外にアピール(販売)していこうという最近の流れからしても、喫緊の課題と感じました。

 なお、知財活用の具体的事例ということで、吉永先生からは当日3つの事例の紹介がありました。
 概要記載すると以下となります。

1.バラ農家の事例(個人農家のケース)
 某バラ農家がハード面(栽培装置)・ソフト面(栽培方法)両方に特許を持って新品種を開発できる体制を整え、開発した新品種を品種登録し、さらに自分の栽培したバラにブランドを付け、そのブランドを商標登録することで価値を上げている。→最適な知財のポートフォリオを組んでいる事例と理解

2.きのこ生産者の事例(法人のケース)
 日本のきのこの生産は大手3社がほぼ独占している状況で、小規模生産者の生き残りは厳しい状況にあるが、某地域では、地域の小規模生産者を構成員としたネットワーク型農業経営体と、それを運営する組織を作り、同組織が品種開発や技術指導、知財の管理を行うようにした。この結果、同地域の品質が安定し、収量向上も実現できたため、生き残りに成功した。→小規模農家が共同体をつくり、効率的に開発や知財の管理を行った事例と理解

3.産地の知財管理(地域のケース)
 コメ生産調整の対策として「りんどう」の栽培に取り組み、今では国内第1位の生産量をほこる地域となった。市が新品種の開発を行い、生産者が構成員となる社団法人に専用利用権を譲渡。同社団法人が生産物を農協等に販売し、その代金から市へロイヤリティを支払う仕組を構築。ブランド価値を高め、何もない所から、全国生産第一位に上り詰めた。→市が主体となって取組を進め、知財を活用しながら地域のブランド向上を実現した事例と理解

 以上です。

 農業の経営安定化のためには、知財の活用も一つの選択肢と認識した次第です。
タグ:農業
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2014年02月10日

3Dプリンターの未来


 今年最初の戦略研は2/6(土)に「3Dプリンター市場の現状と今後の展開」とのタイトルで外資系戦略コンサルタントの戸川さんに話をしていただきました。
 そう、都内は記録的大雪の中、決行したのです、、、

 3Dプリンターについては、最近よくテレビで、「安価になったことで個人が製造業を始められる時代になった」とか、「心臓疾患を持つ患者の人工の心臓を作って医者が事前に練習ができるため、手術の成功度が上がった」という事例か報道されており、大変興味を持っていました。
 戸川さんの発表は、そういった事例のみでなく、3Dプレイヤーを製造するプレーヤー、市場規模予想、留意点等含め幅広く情報提供して頂いたため、大変参考になりました。

 当方理解としては、3Dプリンターが世の中に与えるインパクトは特に「効率化」と「選択肢」という2つの言葉に集約されるのではと思います。
 つまり、通常、選択肢を増やすと非効率となるわけですが、3Dプリンターにより、これまで金型を製造して試作品を作り上げるまで数週間かかっていた試作期間が1~2日で済むことになるため、大幅な効率化を実現でき、また、安価になれば個人がそこに参入できるため、参加者が増え、選択肢が広がるという事につながるという点です。
 人間の欲求を考えてみても、経済発展段階においては、世界的に有名なブランド品を持ちたがる傾向にあると思いますが、ある程度成熟し、多くの人がブランド品を持ち始めると、今度は自分らしいオリジナリティあふれる商品を持ちたくなる様になると思います。
 それを埋めてくれるのが3Dプリンターという事なのではないかと。

 戸川さんの発表でも紹介がありましたが、クリス・アンダーソン氏は著書「MAKERS」(NHK出版、関美和訳)にて、こういった消費者が欲しいものを生産できる市場を「1万個市場」と呼んでいます。つまり、1万個あれば採算に乗せることができ、一方で大量生産の市場とは一線を画し、ニッチを維持できる市場という事です。

 ただ、3Dプリンターの問題として、多くの物がデジタル化され、コピーが容易にできるようになるため、肖像権の問題があるそうです。例えば、以前中国にて偽ディズニーランドとかドラえもんの被り物とかが問題になりましたが、3Dプリンターにて本物と同様の物が簡単に作れてしまうという事になるのでしょう。まあ、あれは真似はしていないという事なので、そのままかもしれませんが(笑)。
 また、情報がリークした場合、銃などの武器の製造も容易になるため、倫理上の問題もありそうです。個人が銃を作れる様な社会になってしまったら、恐ろしいことです。

 テクノロジーを自ら進化させつつ、それに翻弄される人間という構図が見え隠れしますが、それを解決するのもテクノロジーであり、人間なのではと思いますし、そもそもこういった新しい事を考える事自体が人間が得意とするところなので、必然なのでしょう。
 個人個人としては、社会の流れをウォッチし、乗り遅れない様にするか、乗り遅れても気にしない生活をするか、もしくはそのテクノロジーの先端を行くか、という事になると思いますが、それも選択肢の多い時代の個人の選択という事なのだと思います。

 と、言うわけで、少し論点がずれましたが、当日の当方理解をまとめると以下の通りとなります。

3Dプリンターでできること
・型を使わずに、デジタルデータから直接立体を成形できる。(技術の進化により、様々な色、素材、形の製造が可能になり、将来的には食べ物も作ることができるかもしれない。 また、コンパクトなため、一家に一台置くことが可能)

3Dプリンターのプレーヤー
・プリンターの製造メーカーは米国のSTRATASIS社,3D SYSTEMS社辺りがほぼ独占。
・最近3Dプリンター急に普及し始めたのは、これらの会社の持つ技術の一つが特許切れとなったことによる。

3Dプリンターの市場規模
・2020年までに50億ドル(デジタル一眼レフの市場と同等)〜100億ドル(タブレット・デジカメ市場の約半分)と言われている。

モノづくりへの影響
・これまでは製品を作るまでの工程に価値があり、当然にそれは社内の機密事項であったたが、米国では自社の技術やデザインを公表し、消費者や外部の人に改善をしてもらうというオープンイノベーション的な取り組みがスタートしている。

3Dプリンターの留意点
・銃の部品とその製造方法が流出してしまう危険性や、人気漫画のフィギュア等のコピーが容易になり肖像権の侵害が頻繁に起こる可能性がある点等、課題あり。

以上です。

 3Dプリンターにより世界はますますフラット化し、途上国は先進国との距離を縮め、中小企業は大企業との距離を縮めていくのではと感じました。
タグ:ビジネス
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2013年12月02日

首都直下地震から生き残るために必要な情報、コミュニケーション、コミュニティ


 先月の危機研/政治研ではテーマを「首都直下地震から生き残るために必要な情報、コミュニケーション、コミュニティ」とし、危機研メンバー、市議会議員、区議会議員、災害ボランティアの方々にそれぞれ情報提供をしていただきました。

 まず、危機研メンバーからは震災直後の対応につき話があり、東日本大震災や阪神淡路大震災の経験から、「発災後6時間は行政の対応は期待できず、自分たちでどうにかするしかない」という説明がありました。そこで、各人ができることとしては、事前準備として、「各人の年齢・性別・職業等の属性と、場所や時間帯ごとで想定される状況や必要とするもの等を記載した紙を準備し、家族や職場で共有しておく」という提案がありました。

 次に、議員の方々からは最近の各地域での具体的取り組み内容につき説明頂きました。例えば、「ハード面は対応が進みつつあるが、ソフト面での対応が間に合っていない」という話ですが、学校の耐震化や太陽光パネルの設置は進みつつあるが、避難場所としての運営については教育委員会の協力を得られていないという現状や、デジタル無線機を導入したが、使い方がいまいち普及していないという現状があるようです。
 また、都内のタワーマンションが最近増えていますが、住民同士のコミュニケーションが希薄のため、実際何か起こった際に、協力的に対応する仕組みが出来ていないという指摘もありました。マンション住民はそういったことまで行政に支援してもらうわけにいかないでしょうから、自主的に普段から防災訓練やそれに準じたイベントを実施する必要があるのでしょうが、リーダーシップをとる人間がおらず、実施出来ていないマンションは多いのではと思います。
 それと、特に都内では、帰宅困難者の問題があるという話もありました。日中に災害が起きた場合は、都心に働きに来ている人が多いでしょうから、それらの人々の避難地域を確保する必要がある一方、区としては、住民税を支払っている区民を優先せざるを得ないという事情があるという点です。この解決のためには、企業の協力が必要なわけですが、現状はほぼ自主的な対応に任されており、実際に都内で災害があった場合、混乱が予想されます。こういった問題は、より広域ということで、都議会でもカバーすべきエリアであり、都議会と区議会の協力を期待します。

 最後に、災害ボランティアの方からは東京消防庁の災害時支援ボランティアの実態についてお話いただきました。同ボランティアは、「何か災害が発生した時に、あらかじめ登録している消防署や最寄りの消防署に参集し、東京消防庁が行う消防活動を支援する、事前登録制の専門ボランティア」であり、17,000人以上が登録しているとのことです。相当な人数ですよね。
 災害発生時はリーダーやコーディネーターが不在の場合が多く、混乱が予想されますので、普段から訓練を受け、登録されている方々がこれだけいるというのは心強い限りです。なお、ボランティアの方々は災害時の対応のみでなく、同制度に登録する事で、普段から防災意識が高まるという効果もある様です。

 以上です。

 なお、危機研/政治研では今後も震災時の対応や事前準備・政策等について情報収集・分析し、知見を深めるとともに、情報発信をしていければと考えています。
タグ:政治 行政
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2013年10月29日

アベノミクスの経済効果並びに中小企業再生への道のり


 前回の政治研には自民党衆議院議員の木原誠二さん(http://kiharaseiji.com/)にお越しいただき、アベノミクスにつきお話をしていただきました。木原さんは先月末に外務大臣政務官に就任され、その直後の大変お忙しいタイミングでしたが、お時間をご調整頂き、無事開催に至りました。

 テーマは「アベノミクスの経済効果並びに中小企業再生への道のり〜金融・財政政策から民間主導による再生へのストーリー〜」で、アベノミクスのこれまでの実績と今後の方針、注目すべきポイント等について、大変興味深いお話をして頂きました。

 以下に当日の議事録を添付します。

0.はじめに
・自民党の金融調査会事務局長、経済再生本部主査、中小小規模事業者調査会幹事を務めてきた。

1.マクロ的に絶好調な経済
・マクロ的に絶好調な日本経済。一言でいえば、うまくいっている。数字が物語っている。数字上は効果が出ている

2.その要因は・・・、適切なマクロ政策
・その要因は金融政策。財政政策では景気対策にはならないのは世界の常識。安倍政権でやっと世界に追い付く
・たいへん重要なことは安倍政権にて経済の司令塔である経済財政諮問会議を復活させたこと。会社でいえば経営企画部を復活したということで、経理部が経営の主導権を握っている会社はたいがいダメ。国でいえば財務省が主導権を握っていてはダメ。
・成長戦略は短期的には経済的にマイナス、成長力を削ぐこともある。成長戦略は中長期的には好影響となるもので、じっくり取り組む必要がある。
・安倍政権の四本目の柱は都市政策。自民党は農村政党。都市からお金を収集して、地方に分配するというのがテーゼ。このテーゼとの併存にて都市政策に重点を置く

3.今後のカギは?
・今後のカギは「賃金」。マクロ的にはうまくいっているが、社会的な分配ができているかは疑問。ここがうまくいかないとアベノミクスはうまく言ったとはいえない
・法人税減税を行う代わりに、年末までに賃金が上がる仕組み作りをいかに行うかが焦点。現状、賃金が重要なファクターになっている。
・賃金について特に焦点となるのがサービス産業(GDPの7割を占める)。製造業は春闘など賃金を上げる仕組みがあるが、サービス産業にはない
・サービス産業の賃金については認識が薄い。死角といえる。が、ここを行わないと。賃金全体は上がらない
・サービス産業は消費税の影響が一番大きいところでもある。自動車、住宅は大規模な消費税対策がなされている。しかし、サービス産業、中小企業はかなり影響が出る

4.そして、最大の課題 〜 中小・小規模事業者対策
・もう一つの大きな課題は中小・小規模事業者対策。中小企業が復活しないと日本の復活はない。
・中小・小規模といっても、二つの側面がある。一つは既存の中小小規模事業者、もう一つはいわゆるベンチャー。
・純粋ベンチャーという意味では、エンジェル税制は使い勝手が悪い。ベンチャーファンドへ企業が出資する場合もエンジェル税制を適用できないか。
・また、既存の企業が第二創業としてベンチャーになることを支援するのも大切。第二創業のほうが成功確率が高い。ここにエンジェル税制を活かすことも考える必要。
・ベンチャーや中小・小規模事業者に公共調達/入札の優先枠を設けられないか。
・なお、金融面の対応はだいぶ前進した。金融庁はかなり取り組んでいる。ちゃんと貸し出しているか?へ検査マニュアルは180度転換。さらに、貸出プラス1を評価する。
・認定支援機関を強化したい。評価し、格付けを行いたい。良い結果のある人に良い仕事が行くようにしたい

5.まとめ
・アベノミクスに死角もあるがまだ9ヵ月。これからが勝負。賃金対策、中小企業対策、そして、サービス産業対策を充実させていくことがとても重要

以上です。

 ここ最近発表されている経済指標を見る限りでは景気は上向き傾向にはある様ですが、消費税増税が決まり、また、海外諸国の経済状況も健全とは言えず(特に中国はバブル?)、予断を許さない状況と思います。国内経済については、今後のカギは何と言っても賃金で、しかもサービス業とのことなので、その動きに注目していきたいですし、中小・小規模事業者対策にも着目していきたいです。
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2013年09月24日

ネット選挙

 先月末の政治研では先の参議院選にて一部解禁された「ネット選挙」を取り上げました。
 スピーカーは政治・選挙のプラットフォームである政治山(http://seijiyama.jp/)の担当者の青木さんで、今年の参院選での各政党・候補者のネットの使い方の分析結果や、ネット選挙に関する今後の課題等についてお話を披露して頂きました。

 まず、当方私見ですが、先の参院選でのネット利用やその効果については、解禁後第1回目ということもあり、限定的であったことは事実と思います(解禁と言っても一部解禁であり、投票依頼メールの転送禁止等、わかりづらい制度ですし)。ただ、今後の日本の政治を考える上では大きな一歩であり、これを今後どう育てていくのかが重要と認識しています。一方、今回の参院選の結果を受け、早くもネット選挙の効果が限定的と評価して、その利用を減らしている政党や政治家がいると聞くので、ネット選挙について何が課題で今後どう活用していくべきか、という点について、議論・研究する機会は非常に重要と思っています。

 そこで、今回は政治山の青木さんにその分析結果を披露頂いたわけですが、主に以下の点を認識しました。
1)今回の参院選で投票先決定の情報収集のためにネットを利用した人は約3割
2)全般的には参院選の投票率は下がったが、若者に限定すると、下げ止まり、もしくは向上しているエリアもある。(ネット解禁の影響か?)
3)選挙約1か月前のアンケートでは多くの人がネット上の情報を参考にすると言っていたが、選挙当日のアンケートでは実際に参考にしたという人はその半分以下にとどまった。
4)政党によりネット選挙に対する姿勢は様々であったが、特に共産党はその活用を積極的に行い、議席獲得に有効に活用した。(カクサン(拡散)部を設立し、ツイッター等を活用して情報の拡散を図った)
5)候補者によるネットの活用方法は様々であったが、得票数を伸ばした候補者に共通する事項は情報拡散に成功したという点。一方、単に食べたものの内容や参加したお祭りの様子をアップしただけの候補者については効果は薄かった様子。
6)米国での利用は進んでおり、例えば前回の大統領選挙戦において、オバマ陣営は支援者の活動支援ツールとしてITを駆使した。

 という訳で、日本では第一歩を踏み出したばかりですが、一定の効果と課題が出てきたものと思います。
 ネットはあくまで日々の活動を補完するツールであり、当然それだけでは政治はできませんが、候補者が自分の考えを理解してもらい、また、有権者と双方向のコミュニケーションを行い、そのニーズを把握するためには非常に有効なツールであり、何より安価で時間も選ばないという点は非常に優れていると思います。政治家は日々の政治活動をきちんと行い、随時考えたことや実施したことをアップしていくことができれば、有権者はその政治家の人となりを理解することができ、投票につながるのではと思いますし、アーカイブスとしての機能もあるため、自分が過去にどの様に考え、何故今そう思うのかといった点について頭の整理もできるものと思います。
 今回の参院選では、単に何を食べたとか何に参加したとか断片的な情報発信のみに留まる候補者が多かった様ですが、その情報には殆ど価値は無く、本人が普段何を考え、今後何をしていきたいのかが整理され、発信されているHPやブログが増えていくことを切に願います。

 なお、当日政治研にご参加いただき、普段の取組内容をシェアして頂いた埼玉県議の井上さんのウェブページ(http://inouewataru.com/index.html)は充実しており、県議の仕事がマンガでわかり易く記載されており、且つ、井上さんのやりたいこと、日々の活動内容、日々考えている事(ブログ)等が理解しやすい構成になっています。

 政治活動を行いながらこの様な情報発信を続けていくことは苦労の多いこととは思いますが、限られた選挙期間で候補者の考えを十分理解するのは難しいので、是非こういった情報発信のできる議員が増えていけば、、、と言いますか、有権者がそういった人を選ばなくては(勿論政策次第ですが)と思います。
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2013年08月08日

東日本大震災の被災地支援の現状


 先週の土曜日は「いま、東日本大震災被災地の支援はどうなっているのか?〜被災地支援の現状と気仙沼の支援グループによるパネル・ディスカッション〜」とのタイトルで第93回戦略研ミーティングを開催しました。
 基調講演は一般社団法人RCF復興支援チーム代表理事の藤沢さんにお願いし、後半のパネルディスカッションではNPOや各種団体の代表者等、現地で復興に携わっている計5名の方々にパネラーとなっていただき、具体的活動内容や現地の現状についてお話をシェア頂きました。

当日の各セッションを通じて、当方が特に認識したのは以下の点です。
1) 関心の低下:復興はなかなか進んでいないが、人々の関心は低下しつつあり、ボランティア数も減少してきている
2) 人材不足@:現地で復興を主導していこうとする若手やリーダーシップのある人間が少ない
3) 人材不足A:現地の企業は人材募集をかけているが、例えば水産加工業等では募集しても人が集まらない状況が起きている。(理由は様々な様だが特に生活環境の変化やコミュニティの崩壊、通勤環境の変化等が影響か?)
4) 復興需要の時限性:復興需要は短期的なものであり、早く地元経済が循環する仕組みを作らなくてはならない。
5) コミュニティの崩壊:そもそも今回の震災の有無にかかわらず、日本全国で人々の地域コミュニティとの付き合いは低下しつつあり、東北被災地の問題のみみでなく、コミュニティをどうとらえるかは日本全国の問題となっている。
6) NPOの活動:地方自治体等の行政セクターを支える存在としてNPOが活躍しているが、行政との連携は必ずしも十分ではない。(行政が自らの業務範囲を整理し、対応できない点はうまくNPOと連携を取りながら進めていく等の工夫が必要では。)

以上です。
なお、藤沢さんのお話ですと、コミュニティの弱体をカバーする「新しい社会像」が求められており、その形成のためには以下の動きがポイントになるようです。
1) 企業
:CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)からCSV(Creating Shared Value:共益の創造、単に利益の一部を還元するのではなく、自社資源を使って直接的に社会に関与し課題解決を目指す)へのシフト
2) 行政
:外部企業やNPOとの連携
3) 個人
:SNSの活用により、従来の組織を超えた連携の強化

地域コミュニティの崩壊というのは最近あちこちで言われていますが、今回、改めて全国的な問題と認識しました。
しかし、なぜそれが起きているのでしょうか?

かつては地域の人々と力を合わせて生きていくというのが通例だったと思うのですが、経済成長を成し遂げ、ある程度裕福になったからなのでしょうか?経済成長とプライバシーを守る意識というのは比例するのでしょうか?

人は本質的に他者に干渉されたくないという感覚があると思うので、ある程度自分で生活できるようになったら(経済成長を成し遂げたら)、それを守りたいと思うようになるのかもしれません。
ただ、サステナブルな社会を作るためには、個人個人がつながって、何か事象が起きた時に力を合わせて対応できる仕組みや関係性が必要なのだと思います。
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2013年06月10日

防災、政策策定、医療・介護について

 大分時間が空いてしまいましたが、5月と6月の戦略研関連イベントにつき、以下の通り概要、感想を記載します。

5/15:危機研・政治研「首都直下地震から生き残るために必要な情報とメディアは何か?〜東日本大震災、阪神淡路大震災の発生後の24時間から学ぶ〜」

 表題の件につき、危機研理事長や地方議員、テキストマイニングの専門家から情報提供をしていただきました。
 まず、危機研理事長より過去の事例として阪神・淡路大震災の時、物理的に職員のトップが震災後迅速に移動出来なかったことにより指示機能が麻痺していたという事例を紹介頂き、普段から事態を想定し、具体的行動をシミュレーションしておく必要性を痛感しました。
 次に、行政が出来る事については限界があるという説明が地方議員からありました。確かに人員数や予算等、行政にも制限があり、何でも行政任せでは町の安全は守れないと思います。普段から住民間での情報共有や行政をサポートするNPO等の存在が必要であると感じました。なお、水や電気等のインフラは管理している局や会社が異なるため情報連携が不十分とのことで、そこは共同訓練を行う等で、普段から有事に備えてほしいと思います。
 最後に、ネットの世界から見た防災時の動きですが、東日本大震災の時は、各人が発信するというよりは、他者の発信をリツイートして、拡散させるという動きが多かった様です。その際にリツイートされるのは信用のおける情報であり、震災時は特にNHKの情報提供が早かったようです。色々な情報が錯そうすると人々は混乱し、ネットはそれを増幅させるリスクもあるかと思っていましたが、皆が良識の範囲内で行動することで、一定の信頼のおける情報が流れる仕組みとなっている様です。ただ、当時の反省として、英語の情報発信が少なかったため、海外諸国に誤解されるケースが頻発してしまったとのことです。

5/18:政治研「ニッポンの変え方教えます〜実践的な政策の作り方セミナー〜」

 政策工房の主任研究員の黒澤さんに、同社にて出版した「ニッポンの変え方教えます」(春秋社)をベースに日本の政策の作られ方につき、解説して頂きました。
 日本は政策策定過程における官僚の関与が強く、霞が関文学と呼ばれる独特な言い回しで法案や資料が作られたりするため、そういった知識を持ち合わせた政治家(官僚と対峙できる政治家)が必要であり、政治家のみに期待することが難しいのであれば、それをサポートする政策秘書や政策シンクタンクが必要と感じました。また、民間的感覚から言うと、今の官僚組織はモノポリーであり、それと一定の距離を持つべき政党や政治家が、情報源や政策策定プロセスにつき官僚に完全に依存している状況と思います。人材流動含め、官僚組織はもっとオープンになって良いと思いますし、政党や政治家側も情報ソースを複数持ち、官僚からの情報や意見の確からしさを検証する工夫が必要なのではと思います。

6/1:戦略研「医療・介護制度改革を実現するために〜当事者・納税者の視線で考える〜」

 東京財団の研究員兼政策プロデューサーの三原さんに表題の件につき講演をしていただきました。
 日本の医療・介護制度分野は複雑で良くわからないイメージがありましたが、やはりその通りで、例えば介護報酬のサービスコードは2万件を超え、制度が複雑すぎて使い勝手が悪い状況に陥っている様です。
 これは省令(国会の承認が不要)により細かく規定されたものであり、細かいニーズに対応するための対処なのかもしれませんが、かえって制度を使いづらくし、また、それにより事務コストが上がり、社会保障費削減にも逆効果なのではと思います。
 医療のみでなく、教育や社会インフラ等についても同様ですが、中央が何でも決める制度は改め、運用で各地域に任せた方が良く、つまり、中央集権の仕組みは制度疲労を起こしている状況ではと感じています。

 なお、医療の世界の話に戻すと、今後は、患者の状況を見極め、どの診療を受けるべきかのアドバイスを行ってくれる総合診療のニーズが高まるのではと思いますが、総合診療医はそれだけ知識が豊富でなければならず、中途半端な知識でアドバイスして責任を取らされるリスク等を考えると、成り手が少ないというのが現状の様です。当日も話がありましたが、雑誌やドラマで総合診療医をフューチャーして、その地位を高めるという動きも必要な様です。

 以上分野は様々ですが、それぞれ今の日本の抱える問題について考える良い機会でした。

 なお、医療・介護制度改革につきご興味のある方は東京財団主催(三原さん担当)の以下フォーラム(6/14)に参加されてはと思います。
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/sub1.php?id=398

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2013年04月08日

新しい企業経営の視点(CSR経営)

4月の戦略研は15周年記念ということで、富士ゼロックスの相談役特別顧問(元社長)である有馬さんにお越し頂き、「新しい企業経営の視点」とのタイトルで、CSRを中心とした今後の企業経営の在り方について話をしていただきました。

有馬さんは2002年に富士ゼロックス社の社長に就任され、当時業績が低迷気味であった同社において構造改革を断行し、見事に同社のV字回復を実現された方で、現在は同社のイグゼキュティブアドバイザーでありながら、国連グローバル・コンパクトのボードメンバーや認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム代表理事、また、複数企業の社外取締役等をされています。

講演の内容は@CSRの歴史とその取り組みについて、ACSRの具体的活動:富士ゼロックス社と国連グローバル・コンパクト、BCSRの方向性と経営のあり方について、の3部構成で、CSRの始まりから、その具体的活動事例、そして今後の方向性についてわかり易くご説明頂きました。

各テーマにつき当方が感じた事は以下の通りです。
@ CSRの歴史とその取り組みについて
CSRについては1920年代以降、欧米がそれを主導してきた様ですが、その考え方自体は「三方よし」の近江商人に代表されるように江戸時代の日本には既にあり、個人的には日本企業の寿命が長い理由の一つにこういった考えがベースにあるのではと感じました。ただ、「CSR経営」といった言葉にしてコンセプトを明確にするのは欧米系が得意であり、改めて日本企業(学術界?)の発信力の低さを感じました。まあどこが発信元でも構わないので、その考えがもっと広まっていけばと思います。

A CSRの具体的活動:富士ゼロックス社と国連グローバル・コンパクト
富士ゼロックス社はアジア・パシフィック地域において統合リサイクルシステムを構築(製品の完全リサイクル(一部部品はリユース)を実現)したとのことですが、それを黒字化するのに8年間を要したとのことです。いつ黒字化できるかわからない事業への取組を決断するというのがまさしく経営者の仕事であり、それを実現したことで社会や顧客からの評価が上がり、技術力も向上し、社員のモチベーションも高まったという事と思います。

それから、XEROX社創業者のJoe Wilson氏の理念もご紹介頂きました。”Our business goal is to achieve better understanding among men through better communications.”というもので、事業の目的が「儲ける」という事ではなく、「人間社会のより良い理解をもたらすこと」と定義されています。例えば複写機によって色々な情報が見える化され、人間の相互理解が深まり、それが世界平和に繋がるといったイメージかと思います。グローバル企業は環境破壊や地元文化の破壊等で批判を受ける事は多々あると思いますが、先進的技術の共有や雇用機会の提供等良い面もあり、また、経済を通して人がつながることで相互理解が深まり、紛争を減らす効果もあるのではと思います。従い、個人的にはその活躍に期待しており、企業は更にCSRを意識した経営を行い、その価値を理解してもらう必要があろうかと思います。また、投資の世界ではPRI(Principle Responsibility Investment)やSRI(Social Responsibility Investment)は定着しつつあるようですが、サービスを受ける消費者側もCSRに積極的な企業の商品やサービスを評価するという姿勢が必要と感じました。

B CSRの方向性と経営のあり方について
最後に、有馬さんの考える企業経営の在り方についてお話頂きました。まず、企業品質とは経済性・社会性・人間性のバランスの上に成り立っており(「人間性」が含まれるというのがミソと認識しました)、また、強靭な企業力というのはCSR経営とのコインの表と裏の関係にあるとの事です。また、強靭な企業体質の構築のためには@価値創造システム(基礎能力)の上にAビジネス・モデルとB有用な価値(商品・サービス)が必要であり、ちょうどパソコンの@CPU、AOS、BSoftwareの関係に似ているとの事です。これらにつきそれぞれ改革プランを策定し、それを実行したのが有馬さんが社長時代に進めた「VO6変革」であり、それにより富士ゼロックス社は収益力の高い企業に復活しました。
当方も今後企業を分析する際は、その会社の@基礎能力(CPU)、Aビジネスモデル(OS)、B商品・サービス(Software)が何であるかを分けて考えるようにしたいと思います。

以上です。
という訳で、CSRを中心に企業経営につき講演をしていただいたわけですが、実際に企業のトップとしてそれを実行され、また、国連等で各国のグローバル企業関係者と交流されている有馬さんの含蓄あるお話を聞くことが出来、誠に良い機会でした。

CSRについては、単にボランティアや寄付を通じて社会貢献をするというCSRだけでは不十分で、環境や社会に配慮した製品を作り、他社と差別化し、企業ブランドを上げることで強靭な企業体質を作るという取り組みが各企業に求められている、そしてそれがより良い社会(世界)の構築に役立つと認識しました。
タグ:経営
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2013年02月24日

グローバル戦略/リスクコミュニケーション

 今月の戦略研では鰍きんどスシロー経営企画部長の清水さんにお越しいただき、「グローバル戦略を見つめ直す〜ケースを通して戦略立案を学ぶ〜」とのタイトルで、企業のグローバル戦略について講義をしていただきました。

 清水さんは公認会計士で、大手監査法人にて監査を経験された後、ドリームインキュベータ社でコンサルティングをされていた方なので、これまで多数の企業を見られており、当日はそれらの経験をベースに、複数企業のグローバル戦略について具体的数値を使いながら説明をしていただきました。
 なお、有名企業の規模や海外比率等についてはある程度理解しているつもりでしたが、当日披露頂いたデータと当方の認識とは大分齟齬があった様で、改めて具体的数字で理解する癖をつける必要があると反省しました、、、

 その他当日の主な論点は、以下の通りです。
・「グローバル企業」と一言で言っても、成功理由や進出の理由は各社様々であり、類型化すると、@規模の経済を追求する、A(弱者が)ニッチセグメントとして狙う、B(ビジネスモデル上の)回収エンジン化する、C限られた資源(パートナー、権利)を先行獲得する、の4つに分かれる。
・上記@の代表企業がトヨタ自動車であり、世界規模で規模の経済を追求(ボリュームが見込めるエリアには適宜生産拠点を新設)することにより、18.5兆円もの売上を実現し、海外比率も69.5%に達している。一方、Bの代表企業がマクドナルドであり、事業をフォーマット化(ローカル商品の開発はローカル企業に許可)し、フランチャイズ展開をすることで「回収エンジン化」しており、売上こそはトヨタに及ばないものの、営業利益は0.7兆円と、トヨタの0.3兆円を上回り、営業利益率は32%(トヨタは2%)という高い収益性を維持している。
・他にBの「回収エンジン化」を狙えるのが日本のコンビニであり、各社海外進出を進めているが、セブンイレブンとファミリーマートと比較し、ローソンには出遅れ感がある。その理由として、進出の際に手を組んだ現地パートナーの実力差が考えられる。
等々。

 そして、上記講義の後は参加者でディスカッションを行いました。ユニクロとキッコーマンを題材に挙げ、複数のチームに分かれてそれらの企業のグローバル戦略についてディスカッションし、その内容を発表したわけですが、各チーム示唆に富んだ面白い発表内容でした。

 「グローバル戦略」と言うとつい、「どこにどの様な方法で進出するか?」を考えがちですが、海外の人に必要とされる物やサービスを提供し、それらの人々の生活向上に役立つのが理想であり、進出検討にあたっては、その価値を改めて考える必要があるように感じました。当たり前のことではありますが、自らの提供できるサービスと、受け取る相手方のニーズがマッチするところに可能性があり、それを地域別に分けて考え、場合により形を変えて提供するという事と思います。そしてその次に、独自で進出するのか?パートナーと組むのか?、現地に拠点を作るのか?拠点を移すならどのタイミングで移すのか?、将来どういう仕組を目指すのか?等々を考えていくのだと思います。
 上記類型の通り、進出の方法は様々ですので、他社の事例を参考にしながら、自社のポジションを十分理解した上での進出が必要と思います。また、方法を工夫するだけでなく、それを実行できる人材がいなくてはどうしようもできないので、企業は常に人材育成に取り組み、社員は自己の将来のために自己研鑽に励む事が求められていると感じます。日本国内のみで経済が回せればよいですが、どうもその様な環境では無い様なので、、、


 閑話休題、次に、今月開催した政治研・危機研(合同開催)ですが、今回はテキストマイニングの専門家であるLCCつくばリスクマネジメントの渡部さんにお越しいただき、「リスクコミュニケーションは何か?〜住民と行政、議会との合意形成〜」とのタイトルで講演をしていただきました。
 そもそもリスクコミュニケーションとは何?ということですが、様々な定義があるとは思いますが、当方は「ある特定のリスクについて関係者間で情報や意見を交換し、合意形成を図っていくプロセス」と理解しています。
 渡部さんのお話では、その実現のためには、@日頃からの地道な積み重ね、Aわかり易さ(理屈は後)、Bそれぞれの立場を思いやる、という事が必要とのことです。
 例えば東日本大震災時の福島原発を巡る政府の発表についてはそれらの点が欠けており、それが国民の不信を招いたという事です。

 政治研的に言えば、政治家はこれらの点を十分留意して有権者とのコミュニケーションを図る必要があり、そのためには普段使う言葉や手法にも注意する必要があるという事になると思います。
 例えば、相手がどう受け取るのかを考えて言葉を使っているのか?自分の主張を伝えたいだけになっていないか?相手に分かってもらえるような資料を使っているか?単に文字が羅列されただけのわかりづらい資料になっていないか?伝え方は正しいか?マス向けはある程度致し方ないとしても、一方通行になっていないか?等々、、、

 それから、渡部さんのお話では、現代は情報が多く、細分化された社会のため、対立を生みやすい構造になっているとのことです。だからこそ情報を正しく伝える人が必要であり、情報の伝達方法の工夫が必要な時代と思います。また、人間は合理的であるようで実は合理的ではない面が多々あり、人の気持ちや行動パターンから感じる「感覚」が必要との事でした。

 人が心地よいと思う言葉は決まっており、それをどう使うかによって相手方の取る印象は大きく変わるということでもあるので、まとめると、@人間の事をもっと良く知る、A相手に伝わりやすい言葉を分析する、B伝え方を工夫する、という3点が必要と認識しました。
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2013年01月30日

霞ヶ関改革

 1/20(日)は戦略研の友好団体であるプロジェクトKの架け橋企画に参加しました。
 プロジェクトK(http://projectk.jp/about/)は別名「新しい霞が関を創る若手の会」の事であり、霞が関の若手官僚が中心となって官僚組織の改革案を提案し、その実現へ向けて活動している会です。
 昨年末に3冊目の書籍(「霞が関から日本を変える」マイナビ新書)が出版となり、その記念も兼ね、「今、求められる霞ヶ関改革 〜行政の経営戦略〜」とのタイトルでパネルディスカッションやグループディスカッションが行われました。

 パネルディスカッションのパネラーは、同会のメンバーであり現在地方自治体の重要ポスト(副市長や理事)にて活躍中の3名の方が務め、各自治体のマネジメントとして実際に日々感じられている事を中心に話をされていました。

 話を伺い、当方が面白いと思ったポイントは以下です。
・現在国と地方に求められているマネジメントの形は正反対であり、国はリーダーシップ(トップダウン)を必要としており、地方は職員からのボトムアップを必要としている。
・自治体職員は地方では就職人気が高く、黙っていても応募者が来るため、自治体の人材採用に対するマインドは低くなりがち。一方、霞が関は各省庁で採用活動をしているため、省庁意識が高く、マインドは高い。ただ、それが縦割りの弊害を生む原因ともなっている。
・自治体は財政問題に直面しているため危機意識が高く、実は改革は相応に進んでいる。一方霞が関は、財務省については財政に対する危機意識が高いが、他の省庁はそれ程でも無く、いまだに予算を取ってきた職員が評価される傾向にある。なお、自治体は事業を中止、もしくは効率化した職員が評価される傾向にある。
・霞が関には無駄が多い。国会答弁資料や各種内部・外部資料につき一言一句細かくチェックをするため、時間が相当かかってしまう。一方、地方自治体はそこまで厳格ではなく、それでも十分業務は回っている。

 以上です。

 上述の通り、「地方は職員からのボトムアップを必要としている」とのことであり、それを実現するには人材育成が必要という事と理解しました。全国各地にいる自治体職員の方々がより高いスキルとモチベーションで業務にあたる事ができれば、地方の抱える問題点の解決に貢献できるのではと思います。そのためには今回の3名のパネラーの様に、霞が関を経験した人が地方へ行き、そのノウハウやネットワークを伝えるという動きは重要と思います。また、自治体職員の方が一度組織を出て他を経験し、将来また戻るという動きがあっても良いように思います。日本的な終身雇用というのは良いカルチャーだとは思いますが、とかく組織が硬直化しやすい昨今において、人の流動性というのはもう少しあっても良い気がしています。
タグ:行政
posted by TK at 00:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする