2009年08月04日

第69回戦略研感想

 前回戦略研の感想を記載します。
 前回は東京農大の應和先生にお越しいただき、食のグローバル化について、経済学の観点からお話をして頂きました。
 お話の流れとしては、自由貿易は農業や環境にマイナス効果をもたらすため、ある程度の保護や規制は必要と思われる、というもので、生存に関る事柄は市場原理に全てを委ねるべきではない、という結論だったと思います。また、経済学の視点という意味では、現在の経済状況や食のグローバル化を生んでいる背景に経済学の潮流があり、19世紀のアダム・スミスに代表される新古典派経済学やマルクス経済学に始まり、20世紀前半のケインズ経済学、20世紀後半の新自由主義・市場原理主義(ハイエク・フリードマン等)、そして新たな国際貿易理論(反グローバル経済?)を唱えた最近のクルーグマン氏のノーベル経済学賞受賞という流れがあるとのことです。経済が形作られるのと、経済理論が発表されるのではどちらが先かはよくわかりませんが、当然に、その時々の経済学は時代を反映しているものと言え、その意味では、クルーグマンがノーベル経済学賞を受賞した背景には、グローバル経済へのアンチテーゼの意味合いがあるのかもしれません。
 一方で、この議論になると必ず保護主義による経済活動の停滞の話が出てきます。各国が保護主義にまわり、貿易活動が活発になされないと世界経済に悪影響を及ぼすという視点です。確かにそれは一理あると思うので、保護主義は極力避けるべきと思いますが、何でも自由で経済合理性のみで物が動く状態だと、それだけ環境への付加も大きいでしょうし、運送にかかるエネルギーも相当なものだと思います。資源が有限で、活発な貿易活動が地球環境を悪化させ、将来人類が地球に住めなくなるということになるのであれば、自由な活動はある程度制限されるべきかも知れません。もし資源や環境の問題を解決できる何らかの方法(技術)を見出す事ができるのであれば、話は別かもしれませんが。
 それから、安全保障の視点もあります。国という概念がなくなれば不要ですが、現行の国際関係が継続すると仮定すると、食糧は国民の生死に直結する大変重要な存在なので、有事のためにある程度自分で生産できる体制が必要であると思います。その体制を自由貿易の中で作ることができるのか?できないのであれば、ある程度のコストを支払って自分達でその体制を作っていかなくてはならないのかもしれません。それが関税による保護主義なのか、農家保護による競争条件の歪曲化なのか、方法はいろいろあると思います。自由経済の下で農業の競争力を強化することにより生き残っていくというのが理想かもしれませんが、土地や賃金水準の差等、他国との明らかな生産コストの違いを農家の努力や企業努力で埋めることは至難の業だと思います。ただ、政策面ではまだできることはあるはずで、当日も参加者からの意見として出ましたが、農協・農業委員会の改革や農地法の更なる改正、税制改正等、手を付けられるところはやるべきでしょう。少なくとも耕作放棄地が日々増加しているという状況は、政策によりある程度食い止める必要があります。
 最近はテレビドラマ『官僚たちの夏』でも描かれていますが、産業を守るためにどこまで国が保護をし、どこまで企業や国民の自助努力に期待をするのかのスタンスの明確化が、今正に日本の農業に求められている気がしています。



posted by TK at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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