2014年08月06日

撤退の農村計画

 今月の戦略研は「撤退の農村計画」(学芸出版社)という衝撃的なタイトルの本を執筆され、人口減少に伴う過疎エリアの実態や今後(集団移転等)について研究をされている東大特任助教の林さんとNPO法人国土利用再編研究所の齋藤さんにお話をしていただきました。

 お二人は元々は地域活性をテーマに研究をされていた様ですが、人口減少によって厳しい状況となっている地方をたくさん見られたことで、地域活性すべきエリアと、そうでなく、一旦撤退(集落移転)を検討すべきエリアがあるのではと考える様になり、この分野の研究を進めることにしたそうです。

 確かに、今後日本の人口が凄いスピードで減少していくことは事実であり、これまで通りの行政サービスを全てのエリアに提供するというのは実質的に困難であり、本問題は各個人や集落にまかせっきりにするのではなく、国や県・市レベルで積極的に取り組んでいかなければならない問題と認識しました。

 当日のお二人のお話で印象的だったのは、「集落移転については日本は既にある程度実績を持っており、やり方のノウハウはある。ただし、その事実や効果についてあまり知られておらず、実際にやろうとする動きはあまり多くない」という点です。具体的には、1970年代に自治体の危機意識から集落移転が積極的に行われたことがあり、その時のノウハウが集積されている様ですが、1980年代に入ると国の方針変更の影響により「補助金に頼る地方」という構図が定着し、集落移転の動きも停滞したという事の様です。

 つまり、現在の問題を深刻化させているのは人為的な政策によるものであり、現時点においてもこの問題に正面から取り組んでいる政治家というのはあまり見当たらず、ある種ほったらかしになっているのが現状という事です。

 人口減少になることは統計的に明らかとなっていたのにもかかわらず、明確な政策や方針は示されず、気付いたら一部エリアは高齢者のみの過疎エリアとなってしまっているというのが現状であり、「どこに住もうと個人の自由であり、国がそれを保障する必要がある」ということが原則かもしれませんが、現実問題、財政問題等を考えると全てのエリアに同様に公共サービスを提供することは困難なため、何等かリーダー(政治家等)が明確な指針を示し、住民の納得のもとに集落移転を進めていく必要があるのではと思います。勿論どこを残してどこを移転させるのかという判断は非常に難しく、簡単な事ではないですが、、、

 今回発表頂いたお二人の様な方がいらっしゃる様に、本分野についての知識・ノウハウはある程度溜まっているので、今後はリーダーがそれをどう生かして政策の実現につなげていくのかという点が大切と理解しました。


ラベル:行政 政治
posted by TK at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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