2014年03月13日

農業+知財


 先月の士業ビジネス研究会/農業情報総合研究所の勉強会では、弁理士の吉永先生にお越し頂き、アグリビジネスにおける知的財産権の成功事例についてお話頂きました。

 個人的には「農業で知財」というものに対してあまりピンときていませんでしたが、様々な切り口からユニークな知財が登録されていることを知り、大変勉強になりました。

 まず、知財といっても何を守るかで色々種類があり、分類すると以下となる様です。

・技術を守る→特許権(特許法)・・・水耕栽培管理システム等
・デザインを守る→意匠権(意匠法)・・・トラクター、ビニールハウス等
・技術を守る→実用新案権(実用新案法)・・・イチゴを傷めない工夫を施した包装箱等
・ブランドを守る→商標権(商標法)・・・「あまおう」「ももいちご」等
・植物新品種を守る→育成者権(種苗法)・・・福岡S6号(あまおうの品種名)等
・公正な競争を守る→不正競争防止法・・・ノウハウ、原産地等
・著作物を守る→著作権(著作権法)・・・ウェブサイト、雑誌、写真等

 ただ、農業関連では件数が少なく、特許・実用新案の出願件数では全体の約1%、商標登録では約2%、意匠登録では約1.5%といった程度の様です。

 従って数的にはそれほど多くは無いのですが、一方で、海外では日本の農産物のブランドや品質は評価されているため、一部の国に無断で新品種の種苗が持ち運ばれ、栽培されていたり、勝手に商標登録(駆け抜け商標登録)されていたりする事例が多くあるようです。

 国際的な知財制度がまだ十分確立されていないため、海外でこういった権利を押さえることは容易では無い様ですが、せっかく日本で関係者の不断の努力により確立された技術やブランドがあるのであれば、それをプロテクトできる様、関係者間での情報共有や政府による啓蒙活動がもっとあっても良い様に思います。日本の農業を海外にアピール(販売)していこうという最近の流れからしても、喫緊の課題と感じました。

 なお、知財活用の具体的事例ということで、吉永先生からは当日3つの事例の紹介がありました。
 概要記載すると以下となります。

1.バラ農家の事例(個人農家のケース)
 某バラ農家がハード面(栽培装置)・ソフト面(栽培方法)両方に特許を持って新品種を開発できる体制を整え、開発した新品種を品種登録し、さらに自分の栽培したバラにブランドを付け、そのブランドを商標登録することで価値を上げている。→最適な知財のポートフォリオを組んでいる事例と理解

2.きのこ生産者の事例(法人のケース)
 日本のきのこの生産は大手3社がほぼ独占している状況で、小規模生産者の生き残りは厳しい状況にあるが、某地域では、地域の小規模生産者を構成員としたネットワーク型農業経営体と、それを運営する組織を作り、同組織が品種開発や技術指導、知財の管理を行うようにした。この結果、同地域の品質が安定し、収量向上も実現できたため、生き残りに成功した。→小規模農家が共同体をつくり、効率的に開発や知財の管理を行った事例と理解

3.産地の知財管理(地域のケース)
 コメ生産調整の対策として「りんどう」の栽培に取り組み、今では国内第1位の生産量をほこる地域となった。市が新品種の開発を行い、生産者が構成員となる社団法人に専用利用権を譲渡。同社団法人が生産物を農協等に販売し、その代金から市へロイヤリティを支払う仕組を構築。ブランド価値を高め、何もない所から、全国生産第一位に上り詰めた。→市が主体となって取組を進め、知財を活用しながら地域のブランド向上を実現した事例と理解

 以上です。

 農業の経営安定化のためには、知財の活用も一つの選択肢と認識した次第です。
タグ:農業
posted by TK at 08:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする