2018年12月30日

2018年


気にはしていたものの、前回の投稿から2年が経過、、、
前回のタイトルが「2016年」なので、今回は「2018年」(笑)

この間も色々なことがあり、、、転職と転職(笑)
今年、ベンチャーに転職し、来年1月からまたコンサルティングの世界に戻る予定です。
ベンチャーは難しいですね〜。

ここ数年はヘルスケア業界を深堀していましたが、今後は日本企業の海外事業展開やリストラクチャリングのサポートをする予定です。

自分自身の今年を振り返ると、なんといっても当該ベンチャーへの挑戦と失敗(?)になるわけですが、挑戦したからこそ見える景色・経験もあったかと思います。
人生なんでも経験!ということで、今後も、「やりたいと思ったことは全てやる」との方針で行きたいと思います。それなりに失うものもありますが(笑)


2018年の世の中を俯瞰すると、時代の大きな転換点であったような気もします。テクノロジーの世界ではAIやシンギュラリティといった用語が飛び交い、新たなサービスや企業も出始めています。世界情勢については米中の貿易戦争が激化し、米朝会議や米国のシリアからの撤退等、紛争やその火種をめぐる力関係にも変化が生じてきています。年末には株価が大きく乱高下し、今後の経済情勢にも注意が必要そうです。企業の業績は堅調と思うものの、、、

個人的には以下の様な点に関心を持っています。
1. テクノロジーとそれによる社会体制・国家体制等の変化
:シンギュラリティは来ないと思うものの、人間がこれまで行って来た単純作業はどんどん機械化され、人が活躍する領域は「物事を生み出す領域」や「人が面白いと思う領域(レジャーやエンターテインメント等)」に限定されていき、格差は更に拡大するのではと思います。そのような世の中において現在の民主主義や資本主義が果たして機能するのか、少々懐疑的です。仮想通貨(暗号通貨)のような一国の金融政策を否定するような通貨が出現する一方、イギリスのEU脱退やアメリカの自国中心主義等、内向きな動きもあり、国という概念がどういった意味を成すのか、更に考えさせられる世の中になるのではと推測しています。
2. 日本の教育
:上記の様な時代の変化にあたり、知識の習得を中心とする既存の日本の教育には変化が必要と感じます。最近は世の中的に(経営的にも)アートや哲学に関する注目が強まっていると感じますが、知識の集積はコンピューターに任せ、感性で物事を判断したり創造したりする能力が問われていると思います。勿論、相応の知識は持っておく必要はありますが。
3. 企業の動向
:世界における時価総額のトップ企業の顔ぶれは30年前と比較して大きく変化し、トップ50に含まれる日本企業の数は平成元年に32社だったものが、平成30年にはトヨタ1社となっています(2018/8/20ダイヤモンドオンライン参照)。GAFAに代表されるネットのプットフォーム系企業や中国企業の成長が著しいわけですが、日本企業の存在感は大きく低下していると言わざるを得ないと思います。成長だけが正しいわけではありませんが、少子高齢化に直面する日本企業が事業(会社)を維持・継続していくためにも海外で勝負する必要があり、変化のスピードが速い昨今においては、事業構造自体も工夫しなくてはならない状況に陥っています。その環境に苦労している企業が不祥事等で事業価値をさらに低下させているというのが最近の状況と思います。
そもそも「日本企業」として括る考え自体が古いのかもしれませんが、社会を安定的に維持・発展させていくためには企業が変化に適切に対応し、新たな価値を提供していく必要があり、それに苦しんでいる所が多いと感じています。そこで、上記の様な感性で判断したり、自由な発想のできる人材の育成が必要ということになるのだと思います。これからは合理的ではない「無駄なもの」の価値が高まると思うので。


と、色々言うことは自由ですが、自分が何が出来るのかという実行の部分が重要であり、少しでも社会にインパクトを与えられる様、2019年はアウトプット重視で動いていきたいと思います。
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2016年12月31日

2016年


 もはや本ブログは年間数えるほどの更新となってしまいましたが、備忘録的に当方の今年について記載します。
 去年は某ベンチャー企業に飛び込んだのですが、諸般の事情?により1年でそのベンチャーは退職し、今年からまたアドバイザリーの世界に戻りました。ただ、分野はヘルスケアに特化し、その分野の業務を中心にコンサルティングやM&Aのアドバイスを行っています。
 ヘルスケアは市場規模としては今後間違いなく伸びる分野ではありますが、国の財政問題等を考えると、所謂診療報酬や介護報酬に依存した形では安定した収益の確保が困難となる可能性があり、今後色々な課題や工夫が必要な分野と思います。また、近年、多くの企業が成長領域としての進出を検討していると理解していますが、ビジネスとしてとらえると難しい部分もあり、そのあたりで適切なアドバイスをしていければと思っています。

 ということもあり、今年は非常に忙しくしており、仕事は勿論のこと、ヘルスケア関連のフォーラムや勉強会にも多数顔を出し、ネットワークもだいぶ広げることが出来ました。

 戦略研関連については、本体の研究会にはほぼ毎回出席し、分科会にもちょくちょく顔を出したという形で、こちらも面白い方に会い、面白い話を聞くことが出来ました。
 テーマとスピーカーはざっと記載すると以下となります。
・「地域医療の現状と課題、IT活用」:南日本ヘルスリサーチラボ代表森田さん、株式会社メドレー代表取締役豊田さん等
・「18歳選挙権!〜票育とデータに基づく投票行動予測〜」:NPO法人僕らの一歩が日本を変える。代表後藤さん、LLCつくばリスクマネジメント代表社員渡部さん等
・「人口減少社会の先進地としての過疎地域」:東京大学大学院農学生命科学研究科・特任准教授林さん
・「リノベーションとコミュニケーション」:渇キ泉道場執行役員三ツ石さん、地域リビングプラスワン代表井上さん等
・「中長期財政推計から見えてきた日本の課題と日本政治のこれから」:東京財団研究員兼政策プロデューサーの亀井さん
・「Healthtechのいまとこれから〜メディラインの導入事例から〜」:株式会社シェアメディカル代表取締役CEO峯さん
・「リーダーのための経営心理学」:経営コンサルタント、公認会計士・税理士、心理カウンセラーの藤田さん
・「IoTで農業を変える「みどりクラウド」」:株式会社セラク みどりクラウド事業部 担当責任者
・「夜間救急のマネジメント」:いおうじ応急クリニック 院長良雪さん、Fast DOCTOR 代表取締役 医師菊池さん

バラエティに富んでいますが、今注目の医療・農業・地域・財政をカバーした面白い内容だったと思います。

 国の財政が悪化する中、高齢化は進行し、将来不安の高まりからか消費も伸び悩んでいるため、今後の日本経済は決して安泰とは言えず、今後さらに生産性を高め、少ない人数で多くを生産する(稼ぐ)仕組みを作らないといけないと認識しています。
 そこで必要となるのがイノベーションであり、例えばAIは人間の仕事を奪うとは言われていますが、日本ではそれを上手く活用して生産性の向上を図っていく必要があるということと思います。
 また、難しい議論ですが、人口減少社会において全ての過疎地をこのまま維持していくことは現実的に困難と思いますので、その対応策も検討する必要があると思います。
 イギリスのEU脱退や米国大統領選でのトランプ氏の勝利等、世界は内向き志向に傾きつつあり、心配事が多いですが、人類の英知をもって解決し、より多くの人々がHappyに暮らせる世界を作ることができると良いです。そのために自分が何ができるかは引き続き検討課題として、、、
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2016年02月15日

夕張市の奇蹟


 非常に久しぶりの投稿となります、、、
 戦略研は去年も2か月に1回コンスタントに開催し、当方も参加していましたが、その前後に仕事をしていることが多く、多忙な日々が続いていたため、本ブログにアップできない日々が続いていました、、、
 実は昨年某ベンチャー企業に転職し、事業を軌道に乗せるべく邁進していたため、この1年は殆ど時間がありませんでした。

 今年最初の戦略研は南日本ヘルスリサーチラボ代表の森田医師にお越し頂き、北海道の夕張市で起きた「医療をめぐる奇蹟」についてお話し頂きました。
 森田医師は財政破綻後の夕張市立診療所の元所長で、破綻により医療崩壊が起きると思われた夕張市に敢えて自ら飛び込み、地域医療を支えた方です。
 事前にTEDで予習していましたが、直接お話を聞くことで、改めて夕張市で起きたことの重要性やポイントを理解することができました。
 以下に概要を記載します。

・財政破綻により、夕張市の病床数は9割削減された(191床→17床)
・それにもかかわらず、医療崩壊と呼ばれる事態には陥っておらず、むしろ高齢者はいきいきと生活し、最期は老衰で人生を全うする人が増えた。また、一人当り医療費も減少した。
・その背景には@きずな貯金、A市民の意識改革、B生活を支える医療、の3点がある。
 ↓
@きずな貯金
:住民の方々がこれまで地元のネットワークを維持し、地域できずなを大事にしてきた(蓄積してきた)ため、助け合いの仕組みができており、独居でも安心して生活できる基盤ができていた。(地域の皆が見守っているから認知症の高齢者も独居が可能。孤独は寿命に悪影響を与えるが、地域の繋がりがあるため、孤独を感じない)

A市民の意識改革
:予防医療に対する意識の向上があった。これまでは「病気になったら医療(病院)がある」という思いで食生活等特に気にすることはなかったが、「病気にならないように日ごろから食事・運動に気を付ける。口腔ケアも行う(高齢者が肺炎になる要因は口の中のばい菌が原因で、それを防ぐためには口腔ケアが必要)」と考えるようになった。

B生活を支える医療
:財政破綻後、24時間の往診対応を約束する在宅療養支援診療所や、同じく24時間対応を約束する訪問看護ステーションができた。また、薬剤師の在宅指導も始まり、歯科医や歯科衛生士による訪問歯科診療(含む口腔ケア)も行われるようになった。これにより病院に行かずに在宅で医療サービスを受けられる体制となった。

 ざっくりですが以上です。
 なお、意識改革という点では上記の予防医療の意識のみでなく、「自分の人生最期の迎え方」という哲学的な点についても変化があったようです。高度な医療や、胃瘻等の特殊な処置により延命をしたいと思う人が減り、例えば病状が悪くなったとき、ちょっとしたことでは救急車を呼ばず、訪問看護師や医師を自宅に呼ぶようになったとのことです。救急車を呼べばそのまま入院となって帰れない可能性があるためです。その結果、救急車の出動数も減り、自宅で最期を迎える人が増えた様です。また、死因についても上位3疾患(癌・心疾患・肺炎)が減り、「老衰」が増えたとのことです。老衰というのは自然死という状態であり、病気ではないため、医師としては説明が難しく、それを家族に受け入れてもらうためには医師と患者・家族間での信頼関係が必要なため、簡単ではない様ですが、夕張市ではその比率が急激に伸びています(平成11年から18年までは1%前後だったのが、平成19年以上右肩上がりに伸びており、平成24年には14%に上昇)

 という訳で、いち早く高齢化を迎え、更に財政破綻まで経験をした夕張市の事例から学ぶことは非常に多くあると感じました。
 政府は医療費削減のため、現在病床数の減少を進めており、それをサポートする仕組みとして、夕張市のような在宅医療や訪問看護の充実が求められていると思います。また、医療を受ける住民側の意識として、何でも良いから治してほしいという意識ではなく、普段から健康の維持に努め、医療についての知識も積極的に吸収し、そして最期は夕張市民の様に「ある程度の年齢になったらいずれ医療では解決できない問題がやってくる、それが天命だ」というぐらいの気持ちで死を迎えるというということが必要なのではと思います。

 財政問題・高齢化等、何かと暗い気持ちになる話題が多いですが、地域コミュニティを維持し、いきいきと生活をしている夕張市の高齢者の方々を想像すると、今後日本として向かうべき方向性というのが見えてくるように思いました。

 詳細につきご興味のあるかたは森田医師の著書「破綻からの奇蹟〜いま夕張市民から学ぶこと〜」(渕上印刷)もご参照下さい。http://www.mnhrl.com/
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2015年04月25日

医療の産業化


今月の戦略研は医療法人社団KNI理事長の北原先生にお越しいただき、「病院がトヨタを超える日〜公的医療保険制度はほんとうに大丈夫?〜」とのタイトルでお話頂きました。

タイトルがやや刺激的ですが、同氏は「「病院」がトヨタを超える日〜医療は日本を救う輸出産業になる!〜」(講談社)という書籍も書かれており、医療崩壊を防ぐためには医療業界は産業化すべきと主張されています。

日本の医療は医療法人という独特の制度のせいか、何かとアンタッチャブルな雰囲気がありますが、高齢化の世界において、これから益々必要となるものであり、技術の革新や、より良い医療の実現のためには、外部の目や経営の視点が入って成長を目指す「産業化」という道は確かに必要なのではと思います。

この問題になると必ず出てくる批判が、「人命はお金で買うべきではない」とか、「金持ち格差を助長する」という意見ですが、診療報酬制度によって、異なるクオリティの医療が同一の料金で提供されている現在の制度では適切な競争がなく、努力(設備投資)をしない病院の方が儲かるという仕組みになってしまい、医療の発展が妨げられる、逆に言えば我々国民は低いレベルの医療にお金を払わされ(日本の医療レベルが低いとは思いませんが、費用対効果として、、、)、結果的に多くの医療費負担を課せられるということにつながるのだと思います。また、もっと言うと、全国一律の医療レベルを前提としているため、各病院の症例や実績は十分に開示されておらず、患者はそれらの情報が無いまま、妄信的に自分の通う病院を信じて自らの命を預けるということが起きていると言えます。

国家財政は火の車で、医療費負担は極力減らしたいという状況と思いますので、経営の視点から無駄を省いたり、医療技術・設備等の進歩により国民トータルの治療費負担を減らす仕組みを作っていいかないといけない状況ですし、また、高齢化の先頭を行く日本が医療を産業化し、諸外国にその技術を輸出できれば、経済の安定化や諸外国との外交関係にもプラスに働くと思います。

医療についてはこれまであまり理解できていなかったので、今後勉強していきたいと思います。
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2015年03月22日

地方議会の現状 〜4月の統一地方選へ向けて〜

 
 今月の政治研は企業広報アドバイザー兼コラムニストの新田さんにお越し頂き、「地方政治に普段興味のないビジネスパーソンが統一地方選でスパッと投票する方法〜こんな地方議員もいるんだよ〜」のタイトルで、地方議会の現状と具体的議員の取組内容等についてお話頂きました。

 まず、新田さんのコラムですが、以下の記事は衝撃でした。
 「港区議会が、議員の取材対応を制限していた」
 http://toyokeizai.net/articles/-/56961
 つまり、公人である一人の議員が、なぜか取材を受ける時に議長に相談しなければならないということになっているようです、、、
 一般企業の社員と社長ならわかりますが、有権者に選ばれた一議員が、なぜ同様に他の有権者に選ばれた議長に相談する必要があるのでしょうか、、、議会を会社か何かと勘違いしているのかもしれませんが、議会は各有権者に選ばれた議員がそれらの有権者を代表して意見を主張し合う場であり、透明性や自立性が大事で(そもそも言論の府であり)、議長に言論統制の権限は無いと思います。
 こんなことが東京の中心に位置する港区で起きているのです。

 去年はヤジ問題や調査費の不正受給問題で注目された地方議会ですが、まだまだ問題は山積の様です。
 そんな中、来月には4年ぶりの統一地方選が予定されているわけですが、あまり盛り上がっていませんね、、、

 さて、当日の新田さんのお話ですが、概要はざっと以下の通りです。

・地方議会における議員立法は殆どなく、全体の約90%が市長提案(実質役所職員提案)、残り10%は議員提案ではあるが、意見書が殆どであり、政策的条例案は1%にも満たない。
つまり、地方議員は市長提案のチェック機能しか果たしていない。(本来は2元代表制のため、お互いがアイディアを出し合い、議論をすることが理想とは思われる。)
・地方議会の話は特定の市区町村のみに関係する事柄のため、関心を持つ人が少なく、ニュースになりづらい
・そんな議会ではあるが、最近のイノベーショントレンドはある。例えば、ネットの活用、コミュニティ再構築、ダイバーシティ、ゼロ予算
・具体的議員で言えば、
北区、おときた議員:ブログで毎日活動内容を配信
我孫子市、水野議員:議員活動を「部活」と称し、身近な活動に
渋谷区、長谷部議員:グリーンバードという街のゴミ拾いを行うNPO法人の活動を通じでコミュニティオーガナイジングを実施
世田谷区、上川議員:性同一性障害であることを公表し、議員に当選
あきる野市こごもり議員:民間マネーを活用してAEDを無料設置

・議員は我々有権者の鏡であり、税金がどう使われるのかを決めるのは我々自身。まずはネット等を活用して、自分の街のことに目を向けてみてはどうか。
・なお、「誰に投票すればよいか?」との問いに対しては、流山市議松野氏の良い候補者選び10の基準↓は参考になる。
http://seijiyama.jp/article/columns/lm/lm20150304.html


 以上です。
 
 関心が無いということは普段不利益を感じていないということとも言え、無理に関心を持ってもらう必要は無いのかもしれませんが、我々は社会とのつながり無しには生きられない世の中を作り上げてきており、身近なこと(政治)への関心が国への関心につながり、また、世界への関心につながるのではと思うので、より住みやすい世の中を作っていきたい(もしくは誰かに作って欲しい)と思うのであれば、まずは身近なところから関心を持つということはあって良いのではと思った次第です。
 という訳で、来月の統一地方選の投票には行きましょう!
 ちなみに自分の住んでいる地域の議員がどういった人達かを検索するためには以下の「政治山」のサイトが役立ちます。(ご担当の方に以前政治研でも発表してもらいました)
http://seijiyama.jp/statesmen/

ラベル:政治
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2015年02月28日

シェールOil/Gas

 今年最初の戦略研はエネルギー専門家の大場さんにお越し頂き、シェールOil/Gasについてお話し頂きました。
 シェール資源開発については住友商事の巨額損失が記憶に新しいところですが、大場さんの話を伺うと、起きるべくして起きたという気がしないでもありません、、、
 というのは、シェールOil/Gasは資源量(「資源量」は発見された鉱物の存在量のこと。一方「埋蔵量」は資源量のうち、将来にわたり商業的に採取可能と見込まれる量のこと)は豊富にある様ですが、実際の採掘量については、EIAの発表によると、実は当初想定の20%ぐらいしか採掘できていないということの様なのです。また、シェールOil/Gasの採掘は、1度始めると止めることができないため、相場の変動に柔軟に対応できない(資金繰りもきつくなる)という問題もあるようです。
 それでもここ数年「シェール革命」ともてはやされていたのはマスコミの扇動(特集すれば売れるから?)による部分もあった様で、当時ネガティブな記事は殆ど掲載されなかったようです。

 それにしても最近の原油価格の変動は異常だと思います。振れ幅が大きすぎるため、リスクが大きいと判断され、新規投資の委縮にもつながってしまうようで、経済への影響が懸念されます。
 また、エネルギー問題は各国のパワーバランスにも直接的に影響を及ぼします。先日も米国とキューバが急に関係を修復するという報道がありましたが、その背景には原油価格の下落によりベネズエラがキューバの面倒を見切れなくなったというものがあると言われています。

 このような状況ですと将来を見通すことができず、守りに入る人が増えてきて、結局は世界経済全体にとって良くないのではと思いますが、各国や各人のエゴが渦巻くこの世の中において、全体最適を取るというのは至難の業ということですね、、、
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2014年12月31日

2014年

 2014年も残りわずかとなりました。皆さんにとってはどんな年でしたでしょうか?

 今年はSTAP細胞やゴーストライター問題、地方議員の政務調査費問題等、色々な会見が悪い意味で話題となった年だったと思いますが、経済面で言えば、少なくとも株価は上昇し、円安の影響もあって、多くの日本企業の業績が回復した年でした。ただ、その恩恵は一部の人しか受けておらず、「格差はより一層広がった」との意見が多くあると思います。

 株価上昇のインパクトは徐々に経済全体効いてくるものとは思いますが、一方で、確かに最近の世の中は一部の人が更に儲かる仕組みになってきている気がします。今年は「資本主義の限界」を指摘する書籍が多数発売されましたが、資金が国境を容易に越えて移動する世界となりましたので、各国の財政・金融政策の影響は限定的となり、資金のコントロールが難しくなっていると感じます。つまり経済のブレーキ役が適正に働いておらず、資金の移動が自由かつスピーディになってきているので、リスクが増している気がします。過去には日本のバブル崩壊やリーマンショック等でガス抜きはされてきましたが、ここ最近の米国を含めた株価上昇や、問題が囁かれている中国バブルの存在等を考えると、世界は果たしてどこまで行くのだろう(大きな反動は来ないのか?)かと少し心配になります。

 今年の個人的な話については、3月末に取引先での3年間の出向生活が終わり、4月に古巣企業に戻りました。3年経つと社内の人間も一部変わっており、若干戸惑いましたが、まあそれなりに慣れ(当たり前ですが)、ボチボチやっています。
 読書については目標の100冊に何とか到達し、色々な刺激や知識を得られたと思います。今年は特に中島義道氏の「私の嫌いな10の言葉」を読んだことで哲学に少し興味を持ち、ニーチェやカント等、哲学関連の本をいくつか読みました。今のところの感想としては、@普段から物事を良く考え、個々の事象の背景にあるものを考える癖をつける。A自分がどういうキャラクターで、何をどうしたいかを整理する。(全ては自分次第。自分をしっかり持ち、他には良い意味で必要以上に期待をしない)という2点が大切と思っています。文字にすると実に平凡でシンプルですが、、、

 という訳で、来年も色々なものや人に触れ、刺激のある日々を過ごせればと思います。
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2014年12月21日

防災への新しい視点とアクション事例の紹介


 今年最後(12月)の戦略研はテーマが防災でした。

 日本は阪神淡路大震災や東日本大震災を経験したものの、防災を日々意識して生活している人は少ないのではと思います。自分もどちらかというとその部類で、あまり準備できていないのが現状です。

 当日は、防災の情報発信を行っている港区議の横尾さん、防災ガールという新しいコンセプトで防災を広めている田中さん、防災のワークショップを各地で開催されている伊丹さん・吉高さんにお越し頂き、普段の取組内容の説明やワークショップを行って頂きました。

 それぞれの取組内容は以下の通りです。

横尾さん:マチノコト
http://www.machinokoto.net/
 2人のライターが中心となって、街づくりに関連した情報を発信しています。前身となる母体では、東日本大震災を中心とした防災情報のみを取り扱う活動をされていたようですが、範囲を街づくりに広め、「防災を意識した街づくり」を一つのテーマとして活動されているとのことです。結構な頻度で取材記事が掲載されており、基本的に手弁当でやっているようなので、大変な事と思います。一つ一つの記事は読むとあっという間ですが、その裏では結構時間をかけて取材をされているのではと、、、日本各地のユニークな活動内容等が紹介されており、参考になります。

田中さん:防災ガール
http://bosai-girl.com/
 名前からしてユニークですが、つながりの薄そうな「防災」と「ガール」を融合させ、防災意識が特に低いと言われている若い女性世代(20代〜30代)が中心となって、サイト運営や各種活動を行っています。「防災をもっとオシャレでわかりやすく」をコンセプトに、おしゃれな防災グッズの販売や各種イベントを開催しており、まだ初めて1年強の様ですが、かなりしっかり運営されている様です。ウェブを活用した全国各地のメンバーとのネットワーク化や防災ガール認定の制度(認定を受けるためにはWebテストに合格する必要があり、認定を維持するためには定期的に防災知識をアップデートしないといけないとのこと)等があり、他のスタートアップ事業を行う人にも参考となる取組なのではと思いました。

伊丹さん・吉高さん:CCJ
http://communitycrossing.net/
 「よき避難者を育てる」というコンセプトのもと、各地でワークショップや講演会、コンサルティング等を実施している団体で、当日はトイレの重要性について考えるワークショップを行って頂きました。一般的に「震災後72時間は公助が届かない」と言われており、物資は基本的に自分達で調達する必要があり、また、トイレについても自分達でどうにかしなければならない状況に陥ると考えた方が良い様です。ただ、妙案はなかなか無く、各自がコンビニで売っている様な簡易トイレシートを普段から持ち歩いておくとか、家に常備しておくという対応が必要そうです。また、避難所ではプライバシーの意識が低いため、特に女性のトイレには気を遣う必要がありそうです。

 以上です。

 防災については色々な方々が色々な活動をされており、大変参考になると共に、日本に住んでいる以上、自分ももっと感度を高くし、普段から準備をする必要があると感じました。


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2014年11月09日

香港出張

 
 一昨日まで香港に出張に行ってきました。
 学生デモは一部エリアで続いているのみの様で、中心街での影響は全く感じませんでした。香港は今まさに歴史の転換点にいるわけですが、大国中国には抗えず、今後徐々にその位置づけは変わっていくということかと思います。
 今回の件で海外からの投資が減るという向きもあるようですが、中国投資の玄関口としての役割や中国本国からの投資は堅調であり、それなりに地位は継続していく気はします。が、上海との違いや不動産バブル(多分)をどうするかという問題はありそうです。
 あとはシンガポールとの競争ですね。限られたパイの奪い合いという訳ではないので、両方更に発展する可能性はありますが、アジアのビジネスの中心と言った場合には、シンガポールに軍配が上がる気がします。
 という訳で、外務省の直近データでちょっと比較をしてみました。

広さ
香港:1,103㎢
シンガポール:716㎢

人口
香港:約717万人
シンガポール:約540万人

名目GDP
香港:約2,436億米ドル
シンガポール:約2,765億米ドル

一人当たり名目GDP
香港:約37千米ドル
シンガポール:約52千米ドル

 既にシンガポールが経済規模や効率性では香港を上回っています。
 香港の主要産業が「金融業、不動産業、観光業、貿易業」で、一方シンガポールが「製造業(エレクトロニクス、化学関連、バイオメディカル、輸送機械、精密器械)、商業、ビジネスサービス、運輸・通信業、金融サービス業」との事なので、シンガポールの方が付加価値の高いビジネスに従事しているという事かと思います。
 ちなみに東京はというと、名目GDP は約1兆1687億米ドル、一人当たり名目GDPは約88千米ドルですので、いずれも香港・シンガポールを大きく上回っています。ただ、ここ数年の推移をみると伸び悩んでおり、一方でシンガポールは着実に増加しています。今後インドネシアやベトナム等のアセアン諸国が伸びることを考えると、地理的にも有利なシンガポールの成長は当面続くものと推測されます。
 アジアの極東という東京の位置や将来的な人口減少を考えると、東京は環境的には厳しくあり、法人税減税をしたところでどれだけ効果が出るか難しいところではありますが、技術力の向上や文化的魅力の維持、サービスの向上等で東京らしさを維持・向上していく必要があるように思います。最近ビザの緩和もあり観光客が増えていますが、今回会った多くの人たちも東京に来たいと言っており、外部から見た魅力は相当高いように思います。個人的にも、これだけ広く、街に色々な表情があり、衛生的で食事のおいしい街というのは他にないと思います。

 香港・シンガポール比較の話に戻ると、JETROのデータによると、2013年度の日本の輸出入は対香港が、輸出:37,582Mドル、輸入:1,619Mドルで、対シンガポールが輸出:21,100Mドル、輸入:7,518Mドルとなっており、香港との取引の方が多い様です。一方、在留邦人の比較では、香港が23,136人、シンガポールが31,038人と逆転しており、会社数(商工会議所の会員数)で見ても、香港が666社、シンガポールが803社となっています。

 どちらが住みやすいかというと、感覚は人それぞれと思いますが、私自信はシンガポールは綺麗ではあるものの、ちょっと表面的で、四季もなく、香港の方が雑多な面白さがあるような気がしています。どちらも住んでみての楽しさや苦労があるのでしょうが、、、

ラベル:海外
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2014年10月13日

戦略研100回記念!

 先週は、ついに戦略研100回記念ということで、ミーティング参加者で10年後の日本についてのディスカッションを行いました。

 ディスカッションの基となる情報は戦略研運営委員から提供し、当方も「日本企業のM&A動向と国際収支の推移」というテーマで、日本企業の過去10年のM&A動向についての情報提供と、日本の国際収支の推移についての情報提供を行いました。

 元々は、自分の仕事にも関係する「M&A」が日本企業の今後の成長に大きく寄与し、また、これまでも経済の下支えとなってきたのではという想いからM&Aについて調べましたが、経済全体で考えた場合、その影響は限定的であり、それなりの時代の趨勢は見て取れるものの、やはり各社の地道な経営活動が経済を支えていると実感しました。

 なので、過去10年のM&A動向自体はそれ程面白いものではなかったのですが、全体像では、ざっと以下3点の特徴があったと思います。@リーマンショックの影響により、2008年以降は件数が急速に減少。ただし、最近はやや戻りつつある。A日本企業同士のIn-Inの案件が全体の約8割、2割弱が海外企業を買収するIn-Out、残りの5%弱が日本企業が買収されるOut-In案件、B1件当たり平均額でみると、金融業の案件規模が大きい。

 また、日本経済の大きな流れとしては、「企業数の減少」と「産業構造の変化」も特徴的と思い、情報シェアしました。かつては中小製造業が多く、日本は輸出を中心に外貨を稼いでいましたが、最近はサービス業が増え、外貨は海外投資のリターンとして得る時代に変わってきたという考えが背景にあったためです。

 その流れで国際収支についても触れ、「福島の原発事故以降、エネルギー価格と購入量の増加により貿易収支は赤字に転落したものの、海外からの利子・配当収入である第一次所得収支がそれをカバーし、経常収支はプラスで推移している」という話をしました。つまり、日本全体ではある種「資本家」の論理として、これまで稼いだお金を海外に投資することで、海外から資金を吸い上げる形になっており、輸出で稼がなくても、「金持ち父さん」的なお金がお金を生んでくれている状況になっているのではと申し上げました。あくまで政府ではなく、個人や企業を含めた日本全体としてですが。政府は借金まみれですので、、、

 これを受けて、「日本は今後どういう産業構造で、海外とはどう付き合っていけば良いか」みたいな議論ができればと思いましたが、テーマが広すぎてなかなか難しく、一方、参加者の皆さんは普段から色々考えることがあるようで、それぞれ自由に意見を言って頂き、ディスカッション自体は面白かったのではと思います、、、

 当方の前に行った新田代表の情報提供の中にあったのですが、「今後グローバル化の進展やマネジメント手法の進化により企業規模が拡大し、一方ITの進歩によりどこでも仕事ができるようになるため、大企業とフリーランスの個人が協働する時代がくるのでは」という予測があり、そうなってくると、どの国や地域に所属するかという問題より、どの企業に所属するか、とか、どの企業と仕事をするかという問題の方が強くなり、国や地域の役割といったものも変わっていくのではという議論がありました。

 「格差の拡大」がグローバル化の功罪としてよく問題視されますが、ITの進化を含めこの流れを止められないとすると、個人が個人の身を守るという世知辛い世の中になってしまうのかもしれません、、、
ラベル:経済 ビジネス
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