2016年02月15日

夕張市の奇蹟


 非常に久しぶりの投稿となります、、、
 戦略研は去年も2か月に1回コンスタントに開催し、当方も参加していましたが、その前後に仕事をしていることが多く、多忙な日々が続いていたため、本ブログにアップできない日々が続いていました、、、
 実は昨年某ベンチャー企業に転職し、事業を軌道に乗せるべく邁進していたため、この1年は殆ど時間がありませんでした。

 今年最初の戦略研は南日本ヘルスリサーチラボ代表の森田医師にお越し頂き、北海道の夕張市で起きた「医療をめぐる奇蹟」についてお話し頂きました。
 森田医師は財政破綻後の夕張市立診療所の元所長で、破綻により医療崩壊が起きると思われた夕張市に敢えて自ら飛び込み、地域医療を支えた方です。
 事前にTEDで予習していましたが、直接お話を聞くことで、改めて夕張市で起きたことの重要性やポイントを理解することができました。
 以下に概要を記載します。

・財政破綻により、夕張市の病床数は9割削減された(191床→17床)
・それにもかかわらず、医療崩壊と呼ばれる事態には陥っておらず、むしろ高齢者はいきいきと生活し、最期は老衰で人生を全うする人が増えた。また、一人当り医療費も減少した。
・その背景には@きずな貯金、A市民の意識改革、B生活を支える医療、の3点がある。
 ↓
@きずな貯金
:住民の方々がこれまで地元のネットワークを維持し、地域できずなを大事にしてきた(蓄積してきた)ため、助け合いの仕組みができており、独居でも安心して生活できる基盤ができていた。(地域の皆が見守っているから認知症の高齢者も独居が可能。孤独は寿命に悪影響を与えるが、地域の繋がりがあるため、孤独を感じない)

A市民の意識改革
:予防医療に対する意識の向上があった。これまでは「病気になったら医療(病院)がある」という思いで食生活等特に気にすることはなかったが、「病気にならないように日ごろから食事・運動に気を付ける。口腔ケアも行う(高齢者が肺炎になる要因は口の中のばい菌が原因で、それを防ぐためには口腔ケアが必要)」と考えるようになった。

B生活を支える医療
:財政破綻後、24時間の往診対応を約束する在宅療養支援診療所や、同じく24時間対応を約束する訪問看護ステーションができた。また、薬剤師の在宅指導も始まり、歯科医や歯科衛生士による訪問歯科診療(含む口腔ケア)も行われるようになった。これにより病院に行かずに在宅で医療サービスを受けられる体制となった。

 ざっくりですが以上です。
 なお、意識改革という点では上記の予防医療の意識のみでなく、「自分の人生最期の迎え方」という哲学的な点についても変化があったようです。高度な医療や、胃瘻等の特殊な処置により延命をしたいと思う人が減り、例えば病状が悪くなったとき、ちょっとしたことでは救急車を呼ばず、訪問看護師や医師を自宅に呼ぶようになったとのことです。救急車を呼べばそのまま入院となって帰れない可能性があるためです。その結果、救急車の出動数も減り、自宅で最期を迎える人が増えた様です。また、死因についても上位3疾患(癌・心疾患・肺炎)が減り、「老衰」が増えたとのことです。老衰というのは自然死という状態であり、病気ではないため、医師としては説明が難しく、それを家族に受け入れてもらうためには医師と患者・家族間での信頼関係が必要なため、簡単ではない様ですが、夕張市ではその比率が急激に伸びています(平成11年から18年までは1%前後だったのが、平成19年以上右肩上がりに伸びており、平成24年には14%に上昇)

 という訳で、いち早く高齢化を迎え、更に財政破綻まで経験をした夕張市の事例から学ぶことは非常に多くあると感じました。
 政府は医療費削減のため、現在病床数の減少を進めており、それをサポートする仕組みとして、夕張市のような在宅医療や訪問看護の充実が求められていると思います。また、医療を受ける住民側の意識として、何でも良いから治してほしいという意識ではなく、普段から健康の維持に努め、医療についての知識も積極的に吸収し、そして最期は夕張市民の様に「ある程度の年齢になったらいずれ医療では解決できない問題がやってくる、それが天命だ」というぐらいの気持ちで死を迎えるというということが必要なのではと思います。

 財政問題・高齢化等、何かと暗い気持ちになる話題が多いですが、地域コミュニティを維持し、いきいきと生活をしている夕張市の高齢者の方々を想像すると、今後日本として向かうべき方向性というのが見えてくるように思いました。

 詳細につきご興味のあるかたは森田医師の著書「破綻からの奇蹟〜いま夕張市民から学ぶこと〜」(渕上印刷)もご参照下さい。http://www.mnhrl.com/
posted by TK at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月25日

医療の産業化


今月の戦略研は医療法人社団KNI理事長の北原先生にお越しいただき、「病院がトヨタを超える日〜公的医療保険制度はほんとうに大丈夫?〜」とのタイトルでお話頂きました。

タイトルがやや刺激的ですが、同氏は「「病院」がトヨタを超える日〜医療は日本を救う輸出産業になる!〜」(講談社)という書籍も書かれており、医療崩壊を防ぐためには医療業界は産業化すべきと主張されています。

日本の医療は医療法人という独特の制度のせいか、何かとアンタッチャブルな雰囲気がありますが、高齢化の世界において、これから益々必要となるものであり、技術の革新や、より良い医療の実現のためには、外部の目や経営の視点が入って成長を目指す「産業化」という道は確かに必要なのではと思います。

この問題になると必ず出てくる批判が、「人命はお金で買うべきではない」とか、「金持ち格差を助長する」という意見ですが、診療報酬制度によって、異なるクオリティの医療が同一の料金で提供されている現在の制度では適切な競争がなく、努力(設備投資)をしない病院の方が儲かるという仕組みになってしまい、医療の発展が妨げられる、逆に言えば我々国民は低いレベルの医療にお金を払わされ(日本の医療レベルが低いとは思いませんが、費用対効果として、、、)、結果的に多くの医療費負担を課せられるということにつながるのだと思います。また、もっと言うと、全国一律の医療レベルを前提としているため、各病院の症例や実績は十分に開示されておらず、患者はそれらの情報が無いまま、妄信的に自分の通う病院を信じて自らの命を預けるということが起きていると言えます。

国家財政は火の車で、医療費負担は極力減らしたいという状況と思いますので、経営の視点から無駄を省いたり、医療技術・設備等の進歩により国民トータルの治療費負担を減らす仕組みを作っていいかないといけない状況ですし、また、高齢化の先頭を行く日本が医療を産業化し、諸外国にその技術を輸出できれば、経済の安定化や諸外国との外交関係にもプラスに働くと思います。

医療についてはこれまであまり理解できていなかったので、今後勉強していきたいと思います。
posted by TK at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月22日

地方議会の現状 〜4月の統一地方選へ向けて〜

 
 今月の政治研は企業広報アドバイザー兼コラムニストの新田さんにお越し頂き、「地方政治に普段興味のないビジネスパーソンが統一地方選でスパッと投票する方法〜こんな地方議員もいるんだよ〜」のタイトルで、地方議会の現状と具体的議員の取組内容等についてお話頂きました。

 まず、新田さんのコラムですが、以下の記事は衝撃でした。
 「港区議会が、議員の取材対応を制限していた」
 http://toyokeizai.net/articles/-/56961
 つまり、公人である一人の議員が、なぜか取材を受ける時に議長に相談しなければならないということになっているようです、、、
 一般企業の社員と社長ならわかりますが、有権者に選ばれた一議員が、なぜ同様に他の有権者に選ばれた議長に相談する必要があるのでしょうか、、、議会を会社か何かと勘違いしているのかもしれませんが、議会は各有権者に選ばれた議員がそれらの有権者を代表して意見を主張し合う場であり、透明性や自立性が大事で(そもそも言論の府であり)、議長に言論統制の権限は無いと思います。
 こんなことが東京の中心に位置する港区で起きているのです。

 去年はヤジ問題や調査費の不正受給問題で注目された地方議会ですが、まだまだ問題は山積の様です。
 そんな中、来月には4年ぶりの統一地方選が予定されているわけですが、あまり盛り上がっていませんね、、、

 さて、当日の新田さんのお話ですが、概要はざっと以下の通りです。

・地方議会における議員立法は殆どなく、全体の約90%が市長提案(実質役所職員提案)、残り10%は議員提案ではあるが、意見書が殆どであり、政策的条例案は1%にも満たない。
つまり、地方議員は市長提案のチェック機能しか果たしていない。(本来は2元代表制のため、お互いがアイディアを出し合い、議論をすることが理想とは思われる。)
・地方議会の話は特定の市区町村のみに関係する事柄のため、関心を持つ人が少なく、ニュースになりづらい
・そんな議会ではあるが、最近のイノベーショントレンドはある。例えば、ネットの活用、コミュニティ再構築、ダイバーシティ、ゼロ予算
・具体的議員で言えば、
北区、おときた議員:ブログで毎日活動内容を配信
我孫子市、水野議員:議員活動を「部活」と称し、身近な活動に
渋谷区、長谷部議員:グリーンバードという街のゴミ拾いを行うNPO法人の活動を通じでコミュニティオーガナイジングを実施
世田谷区、上川議員:性同一性障害であることを公表し、議員に当選
あきる野市こごもり議員:民間マネーを活用してAEDを無料設置

・議員は我々有権者の鏡であり、税金がどう使われるのかを決めるのは我々自身。まずはネット等を活用して、自分の街のことに目を向けてみてはどうか。
・なお、「誰に投票すればよいか?」との問いに対しては、流山市議松野氏の良い候補者選び10の基準↓は参考になる。
http://seijiyama.jp/article/columns/lm/lm20150304.html


 以上です。
 
 関心が無いということは普段不利益を感じていないということとも言え、無理に関心を持ってもらう必要は無いのかもしれませんが、我々は社会とのつながり無しには生きられない世の中を作り上げてきており、身近なこと(政治)への関心が国への関心につながり、また、世界への関心につながるのではと思うので、より住みやすい世の中を作っていきたい(もしくは誰かに作って欲しい)と思うのであれば、まずは身近なところから関心を持つということはあって良いのではと思った次第です。
 という訳で、来月の統一地方選の投票には行きましょう!
 ちなみに自分の住んでいる地域の議員がどういった人達かを検索するためには以下の「政治山」のサイトが役立ちます。(ご担当の方に以前政治研でも発表してもらいました)
http://seijiyama.jp/statesmen/

タグ:政治
posted by TK at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月28日

シェールOil/Gas

 今年最初の戦略研はエネルギー専門家の大場さんにお越し頂き、シェールOil/Gasについてお話し頂きました。
 シェール資源開発については住友商事の巨額損失が記憶に新しいところですが、大場さんの話を伺うと、起きるべくして起きたという気がしないでもありません、、、
 というのは、シェールOil/Gasは資源量(「資源量」は発見された鉱物の存在量のこと。一方「埋蔵量」は資源量のうち、将来にわたり商業的に採取可能と見込まれる量のこと)は豊富にある様ですが、実際の採掘量については、EIAの発表によると、実は当初想定の20%ぐらいしか採掘できていないということの様なのです。また、シェールOil/Gasの採掘は、1度始めると止めることができないため、相場の変動に柔軟に対応できない(資金繰りもきつくなる)という問題もあるようです。
 それでもここ数年「シェール革命」ともてはやされていたのはマスコミの扇動(特集すれば売れるから?)による部分もあった様で、当時ネガティブな記事は殆ど掲載されなかったようです。

 それにしても最近の原油価格の変動は異常だと思います。振れ幅が大きすぎるため、リスクが大きいと判断され、新規投資の委縮にもつながってしまうようで、経済への影響が懸念されます。
 また、エネルギー問題は各国のパワーバランスにも直接的に影響を及ぼします。先日も米国とキューバが急に関係を修復するという報道がありましたが、その背景には原油価格の下落によりベネズエラがキューバの面倒を見切れなくなったというものがあると言われています。

 このような状況ですと将来を見通すことができず、守りに入る人が増えてきて、結局は世界経済全体にとって良くないのではと思いますが、各国や各人のエゴが渦巻くこの世の中において、全体最適を取るというのは至難の業ということですね、、、
posted by TK at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月31日

2014年

 2014年も残りわずかとなりました。皆さんにとってはどんな年でしたでしょうか?

 今年はSTAP細胞やゴーストライター問題、地方議員の政務調査費問題等、色々な会見が悪い意味で話題となった年だったと思いますが、経済面で言えば、少なくとも株価は上昇し、円安の影響もあって、多くの日本企業の業績が回復した年でした。ただ、その恩恵は一部の人しか受けておらず、「格差はより一層広がった」との意見が多くあると思います。

 株価上昇のインパクトは徐々に経済全体効いてくるものとは思いますが、一方で、確かに最近の世の中は一部の人が更に儲かる仕組みになってきている気がします。今年は「資本主義の限界」を指摘する書籍が多数発売されましたが、資金が国境を容易に越えて移動する世界となりましたので、各国の財政・金融政策の影響は限定的となり、資金のコントロールが難しくなっていると感じます。つまり経済のブレーキ役が適正に働いておらず、資金の移動が自由かつスピーディになってきているので、リスクが増している気がします。過去には日本のバブル崩壊やリーマンショック等でガス抜きはされてきましたが、ここ最近の米国を含めた株価上昇や、問題が囁かれている中国バブルの存在等を考えると、世界は果たしてどこまで行くのだろう(大きな反動は来ないのか?)かと少し心配になります。

 今年の個人的な話については、3月末に取引先での3年間の出向生活が終わり、4月に古巣企業に戻りました。3年経つと社内の人間も一部変わっており、若干戸惑いましたが、まあそれなりに慣れ(当たり前ですが)、ボチボチやっています。
 読書については目標の100冊に何とか到達し、色々な刺激や知識を得られたと思います。今年は特に中島義道氏の「私の嫌いな10の言葉」を読んだことで哲学に少し興味を持ち、ニーチェやカント等、哲学関連の本をいくつか読みました。今のところの感想としては、@普段から物事を良く考え、個々の事象の背景にあるものを考える癖をつける。A自分がどういうキャラクターで、何をどうしたいかを整理する。(全ては自分次第。自分をしっかり持ち、他には良い意味で必要以上に期待をしない)という2点が大切と思っています。文字にすると実に平凡でシンプルですが、、、

 という訳で、来年も色々なものや人に触れ、刺激のある日々を過ごせればと思います。
posted by TK at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月21日

防災への新しい視点とアクション事例の紹介


 今年最後(12月)の戦略研はテーマが防災でした。

 日本は阪神淡路大震災や東日本大震災を経験したものの、防災を日々意識して生活している人は少ないのではと思います。自分もどちらかというとその部類で、あまり準備できていないのが現状です。

 当日は、防災の情報発信を行っている港区議の横尾さん、防災ガールという新しいコンセプトで防災を広めている田中さん、防災のワークショップを各地で開催されている伊丹さん・吉高さんにお越し頂き、普段の取組内容の説明やワークショップを行って頂きました。

 それぞれの取組内容は以下の通りです。

横尾さん:マチノコト
http://www.machinokoto.net/
 2人のライターが中心となって、街づくりに関連した情報を発信しています。前身となる母体では、東日本大震災を中心とした防災情報のみを取り扱う活動をされていたようですが、範囲を街づくりに広め、「防災を意識した街づくり」を一つのテーマとして活動されているとのことです。結構な頻度で取材記事が掲載されており、基本的に手弁当でやっているようなので、大変な事と思います。一つ一つの記事は読むとあっという間ですが、その裏では結構時間をかけて取材をされているのではと、、、日本各地のユニークな活動内容等が紹介されており、参考になります。

田中さん:防災ガール
http://bosai-girl.com/
 名前からしてユニークですが、つながりの薄そうな「防災」と「ガール」を融合させ、防災意識が特に低いと言われている若い女性世代(20代〜30代)が中心となって、サイト運営や各種活動を行っています。「防災をもっとオシャレでわかりやすく」をコンセプトに、おしゃれな防災グッズの販売や各種イベントを開催しており、まだ初めて1年強の様ですが、かなりしっかり運営されている様です。ウェブを活用した全国各地のメンバーとのネットワーク化や防災ガール認定の制度(認定を受けるためにはWebテストに合格する必要があり、認定を維持するためには定期的に防災知識をアップデートしないといけないとのこと)等があり、他のスタートアップ事業を行う人にも参考となる取組なのではと思いました。

伊丹さん・吉高さん:CCJ
http://communitycrossing.net/
 「よき避難者を育てる」というコンセプトのもと、各地でワークショップや講演会、コンサルティング等を実施している団体で、当日はトイレの重要性について考えるワークショップを行って頂きました。一般的に「震災後72時間は公助が届かない」と言われており、物資は基本的に自分達で調達する必要があり、また、トイレについても自分達でどうにかしなければならない状況に陥ると考えた方が良い様です。ただ、妙案はなかなか無く、各自がコンビニで売っている様な簡易トイレシートを普段から持ち歩いておくとか、家に常備しておくという対応が必要そうです。また、避難所ではプライバシーの意識が低いため、特に女性のトイレには気を遣う必要がありそうです。

 以上です。

 防災については色々な方々が色々な活動をされており、大変参考になると共に、日本に住んでいる以上、自分ももっと感度を高くし、普段から準備をする必要があると感じました。


posted by TK at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月09日

香港出張

 
 一昨日まで香港に出張に行ってきました。
 学生デモは一部エリアで続いているのみの様で、中心街での影響は全く感じませんでした。香港は今まさに歴史の転換点にいるわけですが、大国中国には抗えず、今後徐々にその位置づけは変わっていくということかと思います。
 今回の件で海外からの投資が減るという向きもあるようですが、中国投資の玄関口としての役割や中国本国からの投資は堅調であり、それなりに地位は継続していく気はします。が、上海との違いや不動産バブル(多分)をどうするかという問題はありそうです。
 あとはシンガポールとの競争ですね。限られたパイの奪い合いという訳ではないので、両方更に発展する可能性はありますが、アジアのビジネスの中心と言った場合には、シンガポールに軍配が上がる気がします。
 という訳で、外務省の直近データでちょっと比較をしてみました。

広さ
香港:1,103㎢
シンガポール:716㎢

人口
香港:約717万人
シンガポール:約540万人

名目GDP
香港:約2,436億米ドル
シンガポール:約2,765億米ドル

一人当たり名目GDP
香港:約37千米ドル
シンガポール:約52千米ドル

 既にシンガポールが経済規模や効率性では香港を上回っています。
 香港の主要産業が「金融業、不動産業、観光業、貿易業」で、一方シンガポールが「製造業(エレクトロニクス、化学関連、バイオメディカル、輸送機械、精密器械)、商業、ビジネスサービス、運輸・通信業、金融サービス業」との事なので、シンガポールの方が付加価値の高いビジネスに従事しているという事かと思います。
 ちなみに東京はというと、名目GDP は約1兆1687億米ドル、一人当たり名目GDPは約88千米ドルですので、いずれも香港・シンガポールを大きく上回っています。ただ、ここ数年の推移をみると伸び悩んでおり、一方でシンガポールは着実に増加しています。今後インドネシアやベトナム等のアセアン諸国が伸びることを考えると、地理的にも有利なシンガポールの成長は当面続くものと推測されます。
 アジアの極東という東京の位置や将来的な人口減少を考えると、東京は環境的には厳しくあり、法人税減税をしたところでどれだけ効果が出るか難しいところではありますが、技術力の向上や文化的魅力の維持、サービスの向上等で東京らしさを維持・向上していく必要があるように思います。最近ビザの緩和もあり観光客が増えていますが、今回会った多くの人たちも東京に来たいと言っており、外部から見た魅力は相当高いように思います。個人的にも、これだけ広く、街に色々な表情があり、衛生的で食事のおいしい街というのは他にないと思います。

 香港・シンガポール比較の話に戻ると、JETROのデータによると、2013年度の日本の輸出入は対香港が、輸出:37,582Mドル、輸入:1,619Mドルで、対シンガポールが輸出:21,100Mドル、輸入:7,518Mドルとなっており、香港との取引の方が多い様です。一方、在留邦人の比較では、香港が23,136人、シンガポールが31,038人と逆転しており、会社数(商工会議所の会員数)で見ても、香港が666社、シンガポールが803社となっています。

 どちらが住みやすいかというと、感覚は人それぞれと思いますが、私自信はシンガポールは綺麗ではあるものの、ちょっと表面的で、四季もなく、香港の方が雑多な面白さがあるような気がしています。どちらも住んでみての楽しさや苦労があるのでしょうが、、、

タグ:海外
posted by TK at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月13日

戦略研100回記念!

 先週は、ついに戦略研100回記念ということで、ミーティング参加者で10年後の日本についてのディスカッションを行いました。

 ディスカッションの基となる情報は戦略研運営委員から提供し、当方も「日本企業のM&A動向と国際収支の推移」というテーマで、日本企業の過去10年のM&A動向についての情報提供と、日本の国際収支の推移についての情報提供を行いました。

 元々は、自分の仕事にも関係する「M&A」が日本企業の今後の成長に大きく寄与し、また、これまでも経済の下支えとなってきたのではという想いからM&Aについて調べましたが、経済全体で考えた場合、その影響は限定的であり、それなりの時代の趨勢は見て取れるものの、やはり各社の地道な経営活動が経済を支えていると実感しました。

 なので、過去10年のM&A動向自体はそれ程面白いものではなかったのですが、全体像では、ざっと以下3点の特徴があったと思います。@リーマンショックの影響により、2008年以降は件数が急速に減少。ただし、最近はやや戻りつつある。A日本企業同士のIn-Inの案件が全体の約8割、2割弱が海外企業を買収するIn-Out、残りの5%弱が日本企業が買収されるOut-In案件、B1件当たり平均額でみると、金融業の案件規模が大きい。

 また、日本経済の大きな流れとしては、「企業数の減少」と「産業構造の変化」も特徴的と思い、情報シェアしました。かつては中小製造業が多く、日本は輸出を中心に外貨を稼いでいましたが、最近はサービス業が増え、外貨は海外投資のリターンとして得る時代に変わってきたという考えが背景にあったためです。

 その流れで国際収支についても触れ、「福島の原発事故以降、エネルギー価格と購入量の増加により貿易収支は赤字に転落したものの、海外からの利子・配当収入である第一次所得収支がそれをカバーし、経常収支はプラスで推移している」という話をしました。つまり、日本全体ではある種「資本家」の論理として、これまで稼いだお金を海外に投資することで、海外から資金を吸い上げる形になっており、輸出で稼がなくても、「金持ち父さん」的なお金がお金を生んでくれている状況になっているのではと申し上げました。あくまで政府ではなく、個人や企業を含めた日本全体としてですが。政府は借金まみれですので、、、

 これを受けて、「日本は今後どういう産業構造で、海外とはどう付き合っていけば良いか」みたいな議論ができればと思いましたが、テーマが広すぎてなかなか難しく、一方、参加者の皆さんは普段から色々考えることがあるようで、それぞれ自由に意見を言って頂き、ディスカッション自体は面白かったのではと思います、、、

 当方の前に行った新田代表の情報提供の中にあったのですが、「今後グローバル化の進展やマネジメント手法の進化により企業規模が拡大し、一方ITの進歩によりどこでも仕事ができるようになるため、大企業とフリーランスの個人が協働する時代がくるのでは」という予測があり、そうなってくると、どの国や地域に所属するかという問題より、どの企業に所属するか、とか、どの企業と仕事をするかという問題の方が強くなり、国や地域の役割といったものも変わっていくのではという議論がありました。

 「格差の拡大」がグローバル化の功罪としてよく問題視されますが、ITの進化を含めこの流れを止められないとすると、個人が個人の身を守るという世知辛い世の中になってしまうのかもしれません、、、
posted by TK at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月16日

政治・選挙でのネット活用

 今月の政治研は、政治ポータルサイト「政治山」を運営されている潟pイプドビッツの市ノ澤さんにお越し頂き、「政治・選挙でのネット活用」とのタイトルでお話をしていただきました。

 普段あまり聞けない、その道のプロならではの情報が多く、大変参考になりました。

 まず、「政治山」ですが、過去に本ブログでも紹介したかもしれませんが、政治に関するWebプラットフォームであり、政治関連の情報が豊富にわかり易くまとめられています。特に選挙の時には、有権者が自分の選挙区の候補者やその属性を簡単にチェックする事ができ、利便性が高いです。(他に、選挙結果や各種リサーチ結果、政党、各議会へのアクセス等も可能で、非常に整理されています。)
http://seijiyama.jp/

 そのようなサイトを運営されている方に、普段の取組内容や、ネット選挙をめぐる最近の動向について直接お話を聞けたのは大変ありがたかったです。

 箇条書きとなりますが、当日の当方の気づきとしては以下となります。

・選挙時のメールやSNSを使った投票依頼については、現状はケース別に可否が細かく決められており非常にわかりづらいため、現在総務省が見直し中

・ネット選挙導入により、これまで「感性」で候補者を選んでいた世界が、今後はより「データ」重視に移行される

・前回の国政選挙では、有名人によるツイート等で公示日にWebのヒットが急増した候補者がいたが、その後アクセスが減り落選。一方、徐々にヒット数が増加し、投票日間近になって急増した候補者は当選した。(空中戦のみでは難しい?)

・同選挙では、選挙公示前は40%ぐらいの人がネットに期待をしていたが、実際に投票の際にネットを活用したという人は10%ぐらいに留まった。→政治家の出す情報と有権者の求めている情報にミスマッチがあるのでは?

・都知事選での家入氏の取組は、少なくともネットの活用という観点では面白いものであった。(政策の募集・オープンデータの取組・ポスター掲示板のデータ化等)

・選挙はこれまでは「雰囲気」だった。最近はどの年代のどういった人が何に興味を持っているのかの情報収集が可能となってきており、また、どの媒体がどの様に効果的かという事も明らかになってきている。(推薦ハガキの効果は実は薄かった???)

・セキュリティは重要であり、技術面ではある程度確保されているが、実は人為的な行為等による運用面の問題が多い。

・低投票率の問題を解決するにはネット選挙のみでなく、ネット投票(自宅等でPCで投票)の導入が必要か!?

以上です。

 最近、地方議員の資質が問題となっていますが、有権者である我々のチェック体制や投票行動に問題があるとも言え、せっかくネットという安価で大量の情報をわかり易く届けるツールがあるのですから、これを活用しない手は無いと思います。
 実際、徐々にではありますが活用の事例は増えてきており、我々がそういった情報を積極的に取りに行くことで政治家の質が上がり、より良い社会の実現が可能になるのではとシンプルに考えています。
タグ:政治
posted by TK at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月06日

撤退の農村計画

 今月の戦略研は「撤退の農村計画」(学芸出版社)という衝撃的なタイトルの本を執筆され、人口減少に伴う過疎エリアの実態や今後(集団移転等)について研究をされている東大特任助教の林さんとNPO法人国土利用再編研究所の齋藤さんにお話をしていただきました。

 お二人は元々は地域活性をテーマに研究をされていた様ですが、人口減少によって厳しい状況となっている地方をたくさん見られたことで、地域活性すべきエリアと、そうでなく、一旦撤退(集落移転)を検討すべきエリアがあるのではと考える様になり、この分野の研究を進めることにしたそうです。

 確かに、今後日本の人口が凄いスピードで減少していくことは事実であり、これまで通りの行政サービスを全てのエリアに提供するというのは実質的に困難であり、本問題は各個人や集落にまかせっきりにするのではなく、国や県・市レベルで積極的に取り組んでいかなければならない問題と認識しました。

 当日のお二人のお話で印象的だったのは、「集落移転については日本は既にある程度実績を持っており、やり方のノウハウはある。ただし、その事実や効果についてあまり知られておらず、実際にやろうとする動きはあまり多くない」という点です。具体的には、1970年代に自治体の危機意識から集落移転が積極的に行われたことがあり、その時のノウハウが集積されている様ですが、1980年代に入ると国の方針変更の影響により「補助金に頼る地方」という構図が定着し、集落移転の動きも停滞したという事の様です。

 つまり、現在の問題を深刻化させているのは人為的な政策によるものであり、現時点においてもこの問題に正面から取り組んでいる政治家というのはあまり見当たらず、ある種ほったらかしになっているのが現状という事です。

 人口減少になることは統計的に明らかとなっていたのにもかかわらず、明確な政策や方針は示されず、気付いたら一部エリアは高齢者のみの過疎エリアとなってしまっているというのが現状であり、「どこに住もうと個人の自由であり、国がそれを保障する必要がある」ということが原則かもしれませんが、現実問題、財政問題等を考えると全てのエリアに同様に公共サービスを提供することは困難なため、何等かリーダー(政治家等)が明確な指針を示し、住民の納得のもとに集落移転を進めていく必要があるのではと思います。勿論どこを残してどこを移転させるのかという判断は非常に難しく、簡単な事ではないですが、、、

 今回発表頂いたお二人の様な方がいらっしゃる様に、本分野についての知識・ノウハウはある程度溜まっているので、今後はリーダーがそれをどう生かして政策の実現につなげていくのかという点が大切と理解しました。
タグ:行政 政治
posted by TK at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする